<金口木舌>積もったプラゴミはいずれ


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 手当てのためペンチを使う。亀の鼻の穴から長さ約10センチのストローが引き抜かれた。流血が痛々しい。2015年に公開された動画が世界に広がり、プラスチックの海洋汚染を考える一石となった

▼国頭村安田の海岸ではウミガメの死骸が見つかった。頭からビニール袋をかぶっていた。海鳥に釣り糸が絡まり死んだ事例も県内で相次いでいる
▼漂着ごみが国際問題となって久しい。沖縄など海に囲まれた地域や国々にとって実害は深刻だ。分解されないプラスチックごみは多くの生物の命を脅かす罠(わな)と化し、人間も例外ではない
▼東京農工大は18年10月、プラスチックごみが漂着した座間味島の海岸で、イソハマグリなどを採取した。調べると、有害なポリ塩化ビフェニール(PCB)の体内濃度が高かった
▼カナダの業者が輸出し放置した大量のごみ入りコンテナがフィリピンで問題化し、同国政府がカナダに送り返した。そのカナダ政府は10日、環境悪化を食い止めるため使い捨てプラスチック製品の使用を21年に禁止すると発表した
▼日本でも、レジ袋の無償配布を禁止する方針が示された。国頭村の安田協同店はマイバッグの住民への貸し出しを始め、プラスチックごみの削減に地域で向き合う。ちりも積もれば山となる。その山は私たちの生活の足元にあるかもしれない。それはもろく、いつか崩れる。