<金口木舌>議員諸氏、まちへ出よう


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 開会時間なのに傍聴席の鍵がかかったまま。質問票を持ち帰ろうとしたら「持ち出し禁止」と注意される。これでは住民の足は遠のくばかりだ

▼どちらも市町村議会の傍聴に行って経験したことだ。与野党同数の伊平屋村議会は、採決で不利になるとの理由で1年ごとに議長が代わる。傍聴を拒否するような先の議会もそうだが、住民と首長、議員の顔はどちらに向いているのか
▼別の悩みもある。那覇市議会は高額の駐車料金がネックになり、市民の傍聴が思うように伸びない(12日付29面)。いずれにせよ、行きたいと思っても簡単に足を運べないことに変わりない
▼ならば議員がまちへ足を運ぶ、と発想を転換したのが北海道栗山町だ。2005年から毎年度末に12会場で住民向けに議会報告会を開く。4人1組の議員が住民と直接対話する
▼栗山町で面白いのは報告会の行き先を抽選で決めることだ。ライバル議員の地盤である“敵地”にも行かねばならない。支持者が集まり、筋書き通りに終わる個人報告会と違い、議員の説明能力を鍛えるには格好の場だ
▼21、22日には那覇市で議会報告会が開かれるが、残念ながら県内では報告会自体が浸透していない。住民と議員が向き合えば、新たな課題も見つかるだろう。議員の見識と住民の意識、両方が高まる機会を逃す手はない。議員諸氏よ、いざまちへ出よう。