<社説>秋元衆院議員逮捕 カジノの危うさ露呈した


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 2017年8月から18年10月まで統合型リゾート施設(IR)担当の内閣府副大臣を務めた秋元司衆院議員(48)=自民=が収賄容疑で東京地検特捜部に逮捕された。

 カジノを含むIR事業への参入を目指していた中国企業側から、現金300万円や約70万円相当の利益供与を受けた疑いが持たれている。事実だとすれば、言語道断だ。東京地検は、事件の全容解明に全力を上げてほしい。
 IRは、カジノを収益の柱とし、国際会議場、劇場、ホテルを含め一体的に整備した巨大集客施設だ。政府が観光立国の目玉と位置付けてきた。それが汚職の温床になった可能性が浮上したのである。由々しき事態だ。
 もともと日本国内にはカジノを運営するノウハウがない。昨年成立したIR整備法によって解禁されるまで、刑法で禁じられていたからだ。そのため、知識、経験を有する米国、中国などの海外企業は、未開拓市場である日本に、早くから熱い視線を注いできた。今回、事件に関わった事業者も例外ではない。
 IR整備法はカジノ営業を免許制とし、事業者に対し利用客への金銭貸し付けも認めている。立地区域は3カ所が上限だ。
 カジノができれば、当然のことながら、ギャンブル依存症の増加が強く懸念される。治安の悪化や青少年への悪影響も心配だ。
 依存症対策として、日本人客には週3回、月10回の入場制限を設け、6千円の入場料も徴収することになっているが、これらが歯止めになるとは思えない。
 利用客は、負けを取り戻したい一心で事業者から金銭を借り、一層深刻な状況に陥る恐れがある。
 そもそも、ギャンブルで負けた人の不幸を踏み台にして利益を上げるのがカジノである。益よりも害の方が大きいと断じざるを得ない。
 今回、元担当副大臣が逮捕されたことで、利権を生みかねないカジノの危うさが露呈したと言えよう。
 IR整備法の前段となる統合型リゾート施設(IR)整備推進法案の採決が16年12月に衆院内閣委員会で強行された時、委員長を務めていたのが秋元容疑者だ。
 同容疑者は翌17年8月、那覇市で開かれたカジノ解禁に向けたシンポジウムで講演した。主催者は中国のインターネットカジノ企業「500ドットコム」だった。
 贈賄容疑で逮捕された3人は同社の役員や顧問を務めていた。うち1人は元浦添市議だ。沖縄で接点が生まれたのだろうか。
 秋元容疑者は逮捕直前「不正には一切関与していない」とツイッターでコメントしている。大阪地検特捜部の証拠改ざん隠蔽(いんぺい)事件の際には、事件をつくり上げる特捜部の風土が批判された。適正な手法で慎重に捜査を尽くすべきなのは言うまでもない。