<社説>県議選・与党過半数 新基地反対の民意表れた


社会
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 任期満了に伴う県議会議員選挙(定数48)は、玉城デニー知事を支える与党が25議席を占めた。翁長県政下で行われた前回より2議席減ったが、過半数を維持した。

 米軍普天間飛行場の移設に伴う名護市辺野古の新基地建設に対しては、新たな議会でも反対が大勢を占める。改めて多くの県民が「ノー」の意思を突き付けた格好だ。
 政府はこの結果を重く受け止め、辺野古新基地の建設を断念すべきだ。これ以上の民意の無視は許されない。
 新基地建設を巡っては2018年9月の県知事選で玉城氏、19年4月の衆院3区補欠選挙で屋良朝博氏、同年7月の参院選で高良鉄美氏と、反対を掲げた候補者が立て続けに当選している。昨年2月の県民投票では投票者の7割超が埋め立てに反対した。
 今県議選では、新基地反対を訴える与党側に対し、野党の自民党が、一日も早い普天間飛行場の危険性除去のため唯一実現性のある方策だとして「容認」の姿勢を明確に打ち出した。対立軸は鮮明で、最大の争点となった。
 このほか、新型コロナウイルス感染症対策、医療・福祉政策、経済振興策などが争点となり、2年前に発足した玉城県政への中間評価が問われた。現県政は一定程度の信任を得たと言えよう。
 玉城知事は繰り返し示されてきた辺野古新基地反対の民意をてこにして、政府との交渉に臨んでほしい。
 執行部と議会は車の両輪といわれる。二元代表制の下、県議は知事と並んで住民から直接選ばれる県民の代表だ。与党だからといって知事の提案を無批判に受け入れたり、野党だからといって頭ごなしに反対したりするなら建設的な議論ができなくなる。
 知事も、日頃から与野党の議員と小まめに意思疎通し、県政運営への理解を広げる努力を怠ってはならない。
 有権者の負託を受けた48人は県執行部に対するチェック機能を強めると同時に、より一層県民に開かれた議会になるよう努めてもらいたい。
 コロナ禍で落ち込んだ観光産業の立て直し、21年度末で期限を迎える沖縄振興計画への対応、全国最低水準の県民所得の向上、子どもの貧困など、基地問題以外でも解決すべき課題は山積している。
 沖縄県議会基本条例でうたっているように、議会の自主性、自立性を高め、その権能を最大限に発揮しなければならない。「県民の意思を的確に把握し、議会活動を通じて県政に反映させる」のは県議に課せられた重大な使命だ。各議員はその点を肝に銘じ、日々、研鑽(けんさん)を積んでほしい。
 今回、4選挙区で無投票当選となり、過去最多に並んだ。新型コロナの影響もあって、投票率は過去最低の46・96%にとどまった。残念なことだ。コロナ禍のような特殊な状況下でも、政策を浸透させ、投票行動を促す方法を確立する必要がある。