<社説>21年県内政局展望 コロナ禍脱却が試される


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 2021年は県内3市で市長選が実施されるほか、衆院選も行われる。いずれも県内の政局に大きな影響を与え、沖縄の将来を占う重要な選挙となる。

 1月17日の宮古島市長選、2月7日の浦添市長選、4月25日のうるま市長選は自民、公明の勢力と、玉城デニー知事を支える勢力の対立構図が既に固まっている。いずれの市長選も両勢力が擁立する候補による事実上の一騎打ちになる見通しだ。これらを前哨戦に、任期満了を10月に控えた衆院選は早ければ春、遅くとも秋には実施される。
 国民、県民生活を混乱に陥れたコロナ禍の中、衆院選は、難局をどう乗り越えるかが最大の争点になる。コロナ感染症対策や経済対策の実効性や成否を有権者がどう判断するかが、政局を左右することにもなりそうだ。
 4月までの3市長選は、衆院選の行方を占う鍵となる。3市とも自公が推す市長が市政を担ってきた。各市長選では、自公が市政を維持するか、それとも「オール沖縄」勢力が奪取して勢力を拡大できるかどうかが焦点だ。宮古島市長選は衆院沖縄4区、浦添市長選は同2区、うるま市長選は同3区の情勢に影響する。
 次期衆院選には、県内4選挙区に比例代表を含む現職6人、新人3人の計9人が出馬する見込みだ。沖縄2、3、4区は「オール沖縄」勢と自公勢が対決する構図で、1区は無所属の下地幹郎氏が自民党に復党するかどうかで構図が変わる。
 前回衆院選では「オール沖縄」勢が支援する候補者が1、2、3区で勝利し、4区は自公勢が推す候補者が当選した。次期衆院選では、この勢力図がどう変わるかが焦点だ。
 衆院選では、コロナ対策のほか、米軍普天間飛行場の移設に伴う名護市辺野古の新基地建設の是非や、沖縄振興計画が21年度末に期限切れとなった後の沖縄振興の在り方などが争点の柱となる。
 衆院選は、菅政権や玉城県政の評価も問われる。選挙結果は、22年の天王山となる県知事選の行方にも大きな影響を与える。
 21年は、3市長選のほか、伊江、座間味、多良間、与那国、伊平屋、渡名喜、北谷の7町村で首長選が実施される。議員選挙は、嘉手納、浦添、本部、与那原、多良間、那覇、宮古島、糸満の8市町村で行われる。
 県内では、子どもの貧困問題や地域振興、まちづくり、医療・福祉、教育など多岐にわたる分野で課題が山積している。各選挙の候補者は、コロナ禍の中でも有権者が政策を判断できる機会を確保できるよう情報発信を工夫し、論戦を深めてほしい。
 今年はコロナ禍をどう脱却するか、政治家の手腕が試される年だ。各選挙における有権者の判断はコロナ禍で痛手を負った沖縄社会の再起への道筋を決める重い選択となる。