名護市辺野古の新基地建設に伴う埋め立ての賛否を問う県民投票から、24日で2年となる。有権者の過半数に上る52・4%が投票し、反対票が72・15%に達した。
2018年の県知事選で建設に反対する玉城デニー知事が当選しても、政府は知事選の結果は多様な政策選択の表れだと民意を軽んじたため、辺野古埋め立ての賛否だけを問うた。しかし政府は結果を無視して埋め立て工事を強行し続けている。
民主主義に基づく制度によって実施した結果を無視することは、民主主義の破壊に等しい。県民の民意に従い、新基地建設を即刻断念し、政府も「世界一危険な飛行場」と認めている米軍普天間飛行場は無条件で即時返還すべきだ。
県民投票後の2年間も県民は建設反対の意思を示してきた。19年4月には、名護市を選挙区に含む衆院沖縄3区補選で、7月には参院選で建設に反対する候補者がそれぞれ当選した。昨年の県議選では、玉城知事を支える与党が過半数の議席を獲得した。当選者の6割が新基地反対派だ。
一方、建設計画が破綻していることも一層明確になっている。新基地が建設される米軍キャンプ・シュワブに陸上自衛隊の水陸機動団を常駐させることで米海兵隊と陸自が2015年に極秘合意していたことが判明した。政府は合意に基づく計画を否定したが、機能強化は許されない。当初の建設目的の変質は計画の瓦解を意味する。
防衛省が県に申請した設計変更も計画の行き詰まりを示している。大浦湾海底にある「マヨネーズ状」と言われる軟弱地盤の強化は前例のない難工事である。実現性が疑われる。
新基地建設全体の工期や工費も計画当初から大幅に変わった。政府試算で総工費は当初の2・7倍に当たる9300億円に膨らみ、22年以降としていた普天間飛行場の返還は30年代以降にずれ込む。県試算では総工費は最大2兆6500億円で、県の年間予算の3・3倍以上の金額だ。
沖縄には、米国統治下で抑圧された民衆が人権擁護と自治権拡大を粘り強く求め、主席公選や国政参加選挙など自らの手で勝ち取ってきた歴史がある。1972年の日本復帰後も「基地のない平和な島」や「自立」を掲げ、96年の県民投票では基地の整理縮小を求める強い意思を示した。
県民投票は、自己決定権を追求してきた沖縄の歩みにおける一つの到達点であり、その権利行使の実践だ。米軍基地の重圧に苦しんできた沖縄の歴史がもたらしたこの意思表示の重みは、2年たっても変わらない。
ボールは本土側にあり続けている。県民投票の結果を無視したり、無関心でいたりすることで、政府の工事強行を止めないのなら、政府だけでなく本土の国民も、沖縄の自己決定権の侵害に加担していると言われても仕方ない。