<社説>10・10空襲から77年 民間被害者の補償を急げ

 南西諸島に甚大な被害をもたらし、激しい地上戦につながる口火となった「10・10空襲」から77年となった。

 米艦載機延べ1400機が早朝から夕刻まで9時間、5次にわたって爆撃し、少なくとも軍人・軍属、住民ら668人が死亡、768人が負傷した。那覇は2日間燃え続け、9割の家屋が焼失した。被災した市民約5万人が本島中南部に避難するという大きな被害をもたらした。
 10・10空襲はその後、日本全国で76万人が犠牲となった無差別攻撃の始まりでもあった。これらの惨事は決して単なる過去の話ではない。今も傷に苦しみ、補償や謝罪を国に求めている民間人被害者がいるが実現していないからだ。旧軍人・軍属には恩給や年金が支給されてきたが、民間人被害者は放置されたまま、高齢化が進んでいる。国は補償を急ぐべきだ。
 国にはその責任がある。空襲による被害が拡大した要因の一つに「空襲から逃げるな、火を消せ」と国が犠牲を強いた防空法がある。海外に目を向けても、ドイツやフィンランドなどは軍人と区別なく民間被害者を補償している。
 無差別爆弾を落とした米国の責任も重大だ。10・10空襲当時、日本政府の抗議を受けた米政府は検討した結果、無差別攻撃だったと認めた。しかし国際法違反であるため日本には回答しなかったことが米公文書で明らかになっている。あまりにも無責任だ。
 戦時中の日本では、軍人への恩給などのほかに、民間の空襲被害者にも戦時災害保護法による補償があった。戦後はいずれも廃止されたが、1951年締結のサンフランシスコ平和条約で主権回復後、旧軍人への補償だけを復活した一方、同条約で米国などへの請求権を放棄した。
 民間の空襲被害者は東京や名古屋で訴訟や立法運動を起こしたが、政府は「国との雇用関係がない」などとして拒み続けている。大阪空襲訴訟の一審と控訴審判決は政府の政策によって国民が危険な状態に置かれたことを認めたが、「軍人と比べて著しく重大な不平等とまでは言えない」として訴えを退けた。
 沖縄10・10大空襲・砲弾等被害者の会によると、沖縄では、一般住民戦死者を県推計の9万4千人とすると、援護法が適用された約5万5千人を除き、空襲や艦砲射撃で犠牲となった一般住民4万人近くが補償されていない。
 民間被害者らを救済する議員立法を目指す超党派の国会議員連盟は今年1回限りで50万円を支給する法案をまとめたが、現段階で国会提出を見送っている。自民党内の調整で「戦後処理問題に関する措置は全て確定・完了した」とする2005年の政府・与党合意が障害となっている。
 ずさんな戦後処理と言うほかない。被害者を放置してはいけない。実態を調査し、補償に向けた国会議論を早急に始めるべきだ。



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