<社説>新報・毎日世論調査 全国との溝 埋める努力を


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 沖縄の施政権返還(日本復帰)50年の節目を前に、本紙と毎日新聞社は合同で世論調査を実施した。沖縄に米軍基地が集中していることを巡り県内と全国で意識の差が大きく、自分の住んでいる地域(県外)への移設に抵抗する姿勢が浮き彫りになった。

 復帰から半世紀たっても基地の負担を沖縄に押し付け続けた日本政府の責任は重い。政府の不作為と国民の無関心が相まって未解決のまま現在に至っている。
 基地問題を全国の人々に我が事として認識させるにはどうすればいいのか。粘り強い取り組みによって復帰を実現させた過去に学び、全国との溝を埋める息の長い取り組みが求められる。
 合同世論調査によると、在日米軍専用施設の7割が沖縄に集中していることに対して「不平等」と回答したのは、県内調査で61%に達したが、全国調査では40%にとどまった。意識の落差を招いた要因の一つに、沖縄返還を5月15日と決めた1972年1月の日米首脳会談が挙げられる。
 日米首脳会談で沖縄以外の在日米軍の再編統合(「関東計画」)に合意した。立川飛行場など六つの基地を日本に返還した結果、沖縄を除く国内の基地は約3分の1に減った。米軍基地が多くの国民の目から消え、米兵による事件・事故、騒音被害、環境汚染などの基地被害が意識されにくくなったとされる。
 全国調査は、米軍の日本駐留を定めた日米安保条約が日本の平和と安全に役立っているかとの質問に対し「役に立っている」が49%。県内調査(42%)を上回った。日米安保を認めながら、沖縄の米軍基地が自分の住んでいる地域へ移設されることに52%が反対した。NIMBY(迷惑施設)の発想が色濃く出ている。
 米軍普天間飛行場の移設に伴う名護市辺野古新基地建設を巡り、県内では54%が移設せずに撤去、県外、国外移設を求めるなど現行計画に反対し、政府の計画に沿い新基地建設を進めるべきだとの回答は36%だった。全国では計画への反対が42%、推進を求める回答は37%と拮抗(きっこう)し、県内と全国調査では意識に差が見られた。
 政府が新基地建設を強行する中、県民意識に変化が見られる。県内調査は各年代で反対が上回っているが、18~29歳は反対43%で推進39%、30代は反対43%で推進41%と拮抗している。ロシアのウクライナ侵攻を受けて台湾有事への懸念が高まった時期と、調査時期が重なったことも影響したかもしれない。自衛隊配備についても県内調査で「強化すべきだ」が55%に上った。
 世代間の認識の違いも今回の調査に表れているとみるべきだろう。米国統治時代の人権侵害や基地被害、そして自治権拡大と米軍基地撤去を求めた歴史を経験していない世代が県人口の6割を占める。復帰をどう伝えるか。この点も意識する時期に来ている。