<社説>産業まつり 県産品の波及効果知る機会


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 県内最大の総合産業展「第39回沖縄の産業まつり」がきょうから3日間、那覇市の奥武山公園と県立武道館で開かれる。

 会場を訪れれば、魅力的な県産品が増えたことに気付くだろう。製造業者が消費者のニーズをつかみ、さらにはニーズを超えた商品開発に努力してきた成果である。多くの県民に県産品の良さに触れてもらいたい。
 産業まつりは商品の改善や新製品開発に生かす場でもある。消費者の立場から商品に対する感想などを出展企業に積極的に伝えてほしい。
 製造業は県民生活に密着した産業である。製造業の立地によって地域経済は活性化し発展する。農林水産業や観光産業などへの波及効果も大きい。
 北中城村商工会の依頼を受け、うるま市の中部農林高校食品科学科の生徒が商品化し、出品するアーサ麺は沖縄のものづくりの望ましい在り方を提示したといえよう。アーサの拠点産地に認定されている北中城村にとってはアーサ麺開発によって付加価値を高め、アーサの活用幅を広げることができる。生徒にとっては商品開発力を培うことができる。既存の製造業でも同じことがいえよう。このように双方に新たな可能性を生み出す生産者と加工業者を結ぶ取り組みを、今以上に進めたい。
 ここ数年、積極的に海外事業を展開している企業もあり心強い。有限会社カワセツ(南城市)は高効率汚濁水浄化装置でフィジーの汚濁水浄化に取り組んでいる。トマス技術研究所(うるま市)は小型焼却炉でインドネシアの廃棄物処理問題の解決に向け、調査・検証に当たっている。
 いずれも国際協力機構(JICA)の支援を受けたものだ。沖縄の地域特性と高い技術力を生かして開発した機器が認められた結果である。他の企業も海外を視野に製品開発にさらに努めてほしい。
 県産品の愛用が拡大すれば、製造業は活況を呈し、雇用が増える。県民所得は向上し税収が増えることで、沖縄社会は発展する。
 九州経済調査協会の試算では、2005年に32・6%だった県内製造業の自給率が6%伸びれば、生産誘発額は920億9200万円、雇用者数は9640人増える。
 県内製造業がもたらす波及効果を県民一人一人が認識し、県産品愛用を常に心掛けたい。