<社説>ドラフト会議 「沖縄時代」到来を望む


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 プロ野球の新人選手選択会議(ドラフト会議)で、県勢は過去最多の6人が指名を受けた。両親が沖縄生まれでブラジル出身の仲尾次オスカル投手(ホンダ、広島6位)も含めると7人にもなる。

 県民にとって大きな朗報であり、共に喜びを分かち合いたい。
 中でも、富士大の多和田真三郎投手(中部商高出)が西武、明大の上原健太投手(あげな中-広島・広陵高出)は日本ハムから、それぞれ1位指名を受けたことは特筆される。
 県勢1位指名は、最近ではロッテの伊志嶺翔大外野手(沖尚高出-東海大)、福岡ソフトバンクの東浜巨投手(沖尚高出-亜細亜大)らがいたが、同時に2人が1位指名を受けるのは初めての快挙だ。
 過去最多の指名、初の2人同時1位指名は沖縄野球のレベル向上をあらためて裏付けるものといえよう。県内関係者らの長年の努力、研さんが生んだ結果だ。夢を追う県内の少年たちや高校球児、大学・社会人選手たちの励みとなる。
 西武1位の多和田投手は地面を這(は)うような独特の投球フォームの快速右腕。低い位置で放たれる速球は打者の手元で伸びる。「新人王を取りたい」との言葉は力強い。
 日本ハム1位の上原投手は球界に数少ない190センチの大型左腕。角度のある直球と、精度の高い変化球が武器だ。「恐れられる投手に」と目標を高く掲げている。
 このほか、普天間高の與那原大剛投手が巨人、立大の大城滉二内野手(興南高出)がオリックスからそれぞれ3位で、高知中央高の日隈ジュリアス投手(桑江中出)がヤクルトから4位で、第一工業大の國場翼投手(具志川高出)が西武から8位で指名を受けた。どの選手も素質は十分。努力次第で、トップ選手になれる素材ばかりだ。
 ドラフト指名はあくまで、スタートラインに立ったにすぎない。じっくりとプロで通用する体力、技術、精神力を磨くことが重要となる。優れた指導者との出会いや、周囲の多くの支えがあったことを忘れず、感謝を胸に研さんを積んでほしい。
 今回指名された選手が各球団に入団すると、県勢プロ野球選手は約30人にも膨れ上がる。それぞれの選手が切磋琢磨(せっさたくま)し、厳しい競争を乗り越え活躍すれば、プロ野球界に必ずや「沖縄の時代」が到来するはずだ。県内の野球ファンはもとより、多くの県民がその日が来るのを待ち望んでいる。