<社説>大交易会 やはりMICE施設拡大を


この記事を書いた人 Avatar photo 宮城 菜那

 沖縄の地理的優位性を生かす有意義な催しだ。第2回沖縄大交易会が閉幕した。継続はもちろんだが、ぜひとも大きく育てたい。

 日本最大級の国際食品商談会だ。県内58社、県外142社の計200社が出展、17カ国・地域から計168社のバイヤーが参加した。
 これだけの人が参加するのは、那覇空港の国際航空貨物ハブの存在が大きい。飛行4時間圏内に中国や東南アジア、日本の計20億人の巨大市場がすっぽり収まるのが那覇空港の利点だ。そして実際にそれらを結ぶ貨物便が毎日就航する。そんな地域は世界でもほとんどない。
 前夜に集荷した貨物を翌日午後に海外で配達することが可能で、冷凍・冷蔵倉庫もあるから、付加価値の高い鮮度保持輸送もできる。各地の特産品が1カ所に集まる利点を生かし、例えば青森のリンゴと山梨のブドウを組み合わせた贈答品も可能なのである。
 むろん参加企業はこうした利点が念頭にあろう。製造業は経済効果の裾野が広い。新たな加工品、組み合わせ商品の開発が那覇を舞台にできれば、その波及効果は大きいはずだ。今回の商談の現実化に期待したい。
 気になるのは県内出展社が昨年の第1回に比べ28社減った点だ。海外展開の機運が乏しいとすれば残念だ。今後国内市場は人口減で間違いなく縮小する。一方で前述のような沖縄の地理的優位性があり、巨大市場進出の好機が存在するのだから、大いに生かしたい。
 商談会参加者が通常の観光客と異なるのは「意思決定者」である点だ。当該企業の上層部だから、必然的に消費支出も大きくなる。
 例えば海外から6500人が参加する東京のスマートエネルギー展は3日間で約63億円の経済波及効果と試算されている。開催施設が毎週稼働すれば年約3千億円の波及効果を持つことになる。
 やはりMICE(企業の報奨旅行や国際会議・展示会)施設の充実を急ぎたい。単なる商談会から市場情報収集を含む見本市の水準にまで引き上げれば、波及効果はさらに高まる。
 県のMICE施設は2万平方メートルの計画だが、国内最大8万平方メートルの東京ビッグサイトでも世界では72番目にすぎない。世界から相手にされぬ施設では意味がない。大交易会の定着・拡大を図る意味でも、世界標準である5万平方メートルへの拡張の早急な検討を求めたい。