<社説>新報教育・PTA賞 沖縄の糧となる実践学ぼう


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社

 創刊120年を記念して創設した第1回琉球新報教育賞・PTA賞が7人の教師と1団体、1個人に贈呈された。

 児童・生徒の主体性と長所を引き出し、自信を持たせて成果を上げる教育手法の研さんに励み、保護者、地域との連携を軸足に据えた健全育成活動に尽力した受賞者の奮闘をたたえ、敬意を表したい。
 贈呈式での受賞者のスピーチは強い使命感に加え、児童・生徒への深い愛情が詰まったもので感動的だった。
 11月26日付紙面で特集した受賞者の先進的な実践は着実に広がり、他の教師やPTAの模範となるものだ。その糧を学び、沖縄教育界全体の底上げに生かしたい。
 今後も、受賞者が沖縄の未来を背負う児童・生徒を後押しする活動にまい進することを期待したい。
 教育賞は屋嘉比仁氏(中部農林高教諭)、東江直樹氏(同)、冨永佳代子氏(天久小教諭)、山城宏幸氏(小禄中教諭)、甲斐静佳氏(竹富町立古見小教諭)、與那嶺隆男氏(同)、比嘉ミチ子氏(真嘉比幼稚園教諭)に、PTA賞は大里中PTAと大山正氏(前那覇地区PTA連合会会長)に贈られた。
 受賞者の目標を一つの言葉で表現すれば、「児童・生徒にたくましく生き抜く学力、対応力を育む」ことに凝縮されるだろう。
 教育賞の屋嘉比氏は「どの生徒にも絶対に良いところがあり、そこを伸ばす」ことを信条に実践を続けた。算数教育を通し「(児童の)自己肯定感を高める授業」に取り組んできた冨永氏は「分からないことは恥ずかしいことではない」と教室で説き続けた。
 7人の教師の活動には「原点は子ども」が刻まれている。気付きを与え、自信を持たせる創意工夫がみずみずしい感性を持つ園児、児童・生徒の可能性を広げている。
 多彩な地域の伝統芸能を学び、継承する「ふるさと伝統芸能まつり」を20年間続けてきた大里中PTAは、生徒たちに「地域を知り、地域を愛し、地域を誇る」思いを着実に息づかせている。子ども同伴の飲食店利用を午後9時に切り上げるよう提唱した大山氏は、保護者も成長するPTA活動に腐心してきた。
 教育は「地域の宝」である学校だけに委ねられたものではない。受賞者の粉骨砕身の実践を通し、教師、学校、保護者、地域が一体となって児童・生徒を支える重要性があらためて照らし出された。