<社説>普天間0.8%返還 5年以内停止、全面返還を

 在沖米軍専用施設面積2万2370ヘクタールの0・031%(7ヘクタール)の返還。これが果たして「目に見える成果」(菅義偉官房長官)と言えるだろうか。

 菅官房長官とケネディ駐日米大使は首相官邸で会談し、キャンプ瑞慶覧インダストリアル・コリドー地区の一部共同使用と、米軍普天間飛行場の東側約4ヘクタール、牧港補給地区の国道58号と隣接する部分の約3ヘクタールについて、2017年度中の返還を目指すことに合意し、共同記者会見で発表した。
 官房長官と駐日米大使がそろって記者会見したのは、沖縄の基地負担軽減策に取り組む姿をアピールする狙いがあるとみられる。しかし普天間飛行場について言えば全体の0・8%の返還にすぎない。直接危険性除去につながるものではなく「針小棒大」のそしりは免れまい。5年以内の運用停止、全面返還こそ危険性除去だ。
 米軍普天間飛行場の東側沿いの土地4ヘクタールの返還は1990年6月の日米合同委員会で確認されていた。同じく早期返還を発表した牧港補給地区の国道58号沿いの土地約3ヘクタールも96年のSACO(日米特別行動委員会)合意で国道拡幅を目的に返還が合意されていた。
 いずれの米軍施設も主要幹線道路の渋滞緩和やアクセス道路確保のために地元自治体から早期の返還などが求められていた。返還は当然であり、本来なら20~25年前に解決すべき懸案事項だ。
 内容に目新しさはないのに、なぜこのタイミングの発表なのか。菅氏は会見で日本政府が米国と交渉した経緯を示し「宜野湾市が要望してきた」などと何度も述べ、宜野湾市の要望に応えたことを強調した。来年1月の宜野湾市長選挙をにらみ、現職を後押しする狙いがあるのだとすれば、政治の劣化でしかない。
 もう一つ。日米両政府の合意文の狙いは辺野古新基地建設を「唯一の解決策」と再確認した点だ。政治折衝とは本来、争点解決に向け努力することである。「唯一」という言葉を使うことは、「交渉する気がない」「思考停止」と言っているに等しい。
 沖縄に70年間も米軍基地を押し付けた上、代執行訴訟で知事を提訴してまで新基地建設を強行する。そして恩着せがましく細切れ返還の成果を強調する。これはもう翁長雄志知事が指摘する「政治の堕落」そのものだ。
英文へ→Editorial:Futenma land return a mere 0.8%–calling for operations to be suspended within five years and all land returned in full