<社説>辺野古受注者寄付 ほかに不正ないか点検を


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社

  米軍普天間飛行場の移設に伴う名護市辺野古の新基地建設工事を受注した建設業者が2014年12月の衆院選で、県内選挙区から出馬し比例復活も含めて当選した6人の議員に対して、計90万円を寄付していた。寄付は衆院の解散6日後から公示日までに行われていた。公職選挙法199条では、国もしくは地方公共団体と請負契約した業者の選挙に関する寄付を禁止している。同法に抵触する可能性があり、見過ごすわけにはいかない。

 寄付をした建設業者は14年10月の辺野古新基地建設工事の入札で「中仕切護岸新設工事(1工区)」を約2億9千万円で落札している。建設業者は寄付したことについて「おのおのの政党へ通常の付き合いの範囲で支援した。選挙に関する寄付ではない。(議員から)寄付の要請は一切なかった」と説明し、選挙との関連性を否定した。
 しかしこの業者は12年の衆院選でも解散後に4人の政党支部に計150万円を寄付している。一方で衆院選のなかった13年には寄付をしていない。選挙との関連性を疑われても仕方ない。
 寄付が表面化したことを受け、6人の議員はすでに返金したり、返金を検討したりしている。6人はいずれも選挙運動との関係性を否定している。しかし衆院が解散し、事実上の選挙戦に突入した最中に寄付を受け取っている。選挙と関係ないと言われても、市民感覚では額面通りには受け取れない。
 辺野古の新基地建設工事をめぐっては、これまでも沖縄防衛局が設置した環境監視等委員会の一部委員が受注企業から寄付金や業者の関連法人から報酬を受け取っていたことが分かっている。
 県は委員への寄付・報酬問題について、防衛局に事実関係の報告を求めた。防衛局は報告書を県に提出したが、県の求めている内容に十分回答していない。説明責任を果たしているとは言い難い。
 受注業者らによる不適切ともいえる行為が次から次へと表面化している。こうなると、まだ明るみになっていない不正が存在しているのではないか。疑いの目で見るほかない。
 政官業学のもたれ合い、癒着の構図ともいえる状況が起きている。こうした中で沖縄の民意に背く形で工事が強行されていることは到底容認できない。工事全体の点検作業が必要だ。