<社説>全国体力テスト 親が子の手本となりたい


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 スポーツ庁は小学5年と中学2年の全員を対象に、4~7月に実施した2015年度全国体力テストの結果を公表した。握力、反復横跳びなど実技8種目の数値を点数化した合計点の平均値で、女子は小中とも過去最高となった。小5男子は過去最低の結果が出た。

 子どもの体力は1985年ごろがピークで、その後は下がり続けているとされる。しかし、最近は学校の体育の授業の中身などの工夫で、少しずつ上がってきたという。現場の努力は評価できよう。子どもの将来の健康維持のためには、幼少期に運動習慣を身に付けさせ、体力をさらに向上させることが重要だ。
 一方、県内小中学生の男女の体力合計点は、小学男子を除き前年度からの改善が見られたものの、いずれも全国平均を下回っている。小学男子は4年連続で低下し、過去最低だった。
 全国的に見ると、体育の授業以外に運動をさせたり、地域連携に力を入れたりしている学校ほど実技のポイントが高いという。
 県内でも体力、運動能力の全国レベルへの向上を目指したい。そのためには、スポーツの楽しさが分かる授業で子どもたちのやる気を引き出したり、運動時間を増やしたりするなど、さまざまな取り組みが必要だ。食育を含め小学校低学年や幼児期の子どもへの指導にもさらに力を入れていくべきだ。
 また、地元の競技会への積極参加など地域との連携を強めていきたい。地域にいるスポーツに関心が高い人材の学校現場への積極的な活用も大事だろう。
 見過ごせない問題もある。県内の肥満傾向児の割合が小中学男女全てで全国平均を上回っていることだ。小学男女、中学女子は前年度より減少しているが、中学男子は前年度の9・4%から10%(全国7・6%)に増加し、2010年度の調査以来の2桁となった。
 子どもの肥満は、将来の病気のリスクを高める。幼児期に肥満になればその後も肥満のままの傾向が強く、糖尿病や心臓疾患などを若いうちに発症する可能性が高くなる。
 子どもの肥満予防にはまず、親の生活習慣を整える必要がある。親が食事と運動のバランスに気を配り、子ども世代にも良い影響を与えたい。親の生活習慣が改善されることで、子どもにも相乗効果が生まれるはずだ。親が健康づくり、体力づくりの手本となりたい。