<社説>カフェイン中毒死 適量の周知徹底急ぎたい


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 エナジードリンクの大量摂取が原因とみられるカフェイン中毒死が国内でも報告された。死亡した九州地方の20代男性はカフェイン入りエナジードリンクを長期間にわたり、日常的に飲んでいた。

 眠気覚ましをうたうカフェイン入りエナジードリンクは清涼飲料水扱いで、コンビニなどで手軽に購入でき、若者を中心に愛飲者が増えている。眠気が抑えられたとする人からは「元気が出る」などの声もある。
 カフェインには興奮作用があり、眠気覚ましや仕事の合間の息抜きでは、心的作用も相まって一定程度のリフレッシュ効果もあろう。
 だが、カフェインに過度に頼ることは危険だ。心拍数が上がるため、大量摂取すると心臓に大きな負担が掛かる。急性作用としてめまいや震え、不眠症、下痢、吐き気などが知られている。
 内閣府の食品安全委員会によると、海外機関が目安として勧告している1日当たりカフェイン摂取量は、健康な成人で400ミリグラム(マグカップコーヒー約3杯分)、4~6歳児では45ミリグラム(350ミリリットル缶コーラ飲料1本分)である。
 しかしこれはあくまでも目安である。健康に影響しない量は人によって違うし、その人の体調によっても変わってくるだろう。要はそれぞれが適量を知ってそれを守り、体調が悪いときは摂取しないことである。
 国内で販売されているエナジードリンクのカフェイン含有量は200ミリグラムに満たない。適量を守れば、健康を脅かしたり、命に関わったりすることはまず考えられない。
 その一方で注意しなければならないことは、カフェインは耐性ができやすく、すぐに効きが悪くなるという点だ。眠気が収まらないからといって立て続けに飲むことは避けるべきだ。アルコールと一緒に飲むと副作用が強くなることも知っておきたい。
 問題はエナジードリンク愛飲者に、このことが周知されているかだ。「多量の摂取は避けて1日1本まで」などと表示している製品もあるが、表示をいちいち見る愛飲者は少ないだろう。国内メーカー関係者からは「強く周知する方法があまりない」との声もある。過剰な摂取に注意を促す効果的な周知法を確立し、愛飲者の健康を守りたい。
 販売店でも張り紙などで、エナジードリンクの適量を愛飲者に周知徹底することを急ぎたい。