<社説>大震災避難者 安定した支援策の構築を

 東日本大震災で沖縄に避難してきた人々にとって、一つ、また一つと支援が徐々に無くなっていく状況はどんなに心細いだろう。

 県が実施した県内避難者アンケートを読むと、その心細さが生々しく伝わり、胸が詰まる。つらい思いをした人々に、さらなるつらさを与えてはならない。
 沖縄で生活を続けたいと思う人は避難者の59%に上る。こうした人々を支えたいというのは県民共通の思いだろう。避難者に今後も支えがあると実感してもらえるような、安定した支援策を構築したい。
 「放射能汚染が広がり、甲状腺がんも多発する中での帰還強制は人権侵害だ」「政府はまだ線量の高い町村への帰宅を急がせている」
 アンケートに寄せられた声はどれもうなずけるものばかりだ。
 災害救助法に基づく住宅支援は2017年3月に打ち切られるが、「(原発事故という)人災は、災害救助法の枠内ではないと思う。人の命を何だと思っているのか」という声はもっともだ。原発事故が収束していないのだから帰還促進はいかにも拙速である。国や被災県は支援を延長していい。
 国が延長しないのなら、沖縄県は例えば県内公営住宅への優先入居を図ってもいいのではないか。
 県内の企業や団体と県でつくる東日本大震災支援協力会議は「ニライカナイカード」を避難者に配布している。カードを提示すれば加盟企業の各種割引サービスが受けられる仕組みだ。アンケートでは「カードがどんなに役立っているか分からない」と感謝する声が実に多かった。加盟企業のこれまでの支援に敬意を表したい。
 協力会議はカードのサービスを17年3月で打ち切り、代わりにスーパーなどで使える利用券を配布する考えのようだが、「ライフラインに直結する支援は継続してほしい」との声もある。対象をライフラインに限定した上で、カードを延長してもいいのではないか。
 避難者のうち家族が1カ所にいるのは47%にとどまる。相談相手が「誰もいない」も16%。28%は心身の健康が「悪いまま」か「悪化した」だ。
 古里を失い、家族が離れ離れになり、慣れない土地で生活の不安も抱えていれば当然だ。アンケートでは子どもや子育て世代だけでなくお年寄り対象の被災者交流会を求める声もあった。行政にはこうしたきめ細かな支援も求めたい。



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