<社説>北朝鮮制裁決議 対話の場設ける努力も必要


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 国連安全保障理事会(15カ国)は北朝鮮による4度目の核実験と事実上の「長距離弾道ミサイル」発射を非難し、制裁を大幅に強化する決議案を全会一致で採択した。

 国際社会は北朝鮮が核開発に突き進んでいることに強い危機感を持っており、軍事挑発は許さないとのメッセージである。北朝鮮は決議を重く受け止め、国際社会との対決姿勢を改めるべきだ。
 しかしながら北朝鮮にその意思はないようだ。決議案採択後、北朝鮮は「短距離の飛翔体」6発を日本海へ向けて発射した。国際社会への挑戦であり、断じて許すことはできない。
 2月には、米国が対北朝鮮独自制裁法を成立させたことに反発し、核開発のさらなる推進を表明している。
 制裁に反発し、非難も一顧だにしない。その繰り返しである。北朝鮮と国際社会との溝は広がる一方である。制裁一辺倒では北朝鮮を軟化させ、非核化を実現するのは容易ではないということだ。
 北朝鮮の核問題をめぐる6カ国協議は2008年以来中断している。北朝鮮に復帰の意思はなく、再開は困難な情勢にある。それでも対話の道を探り、北朝鮮を交渉の席に着かせなければ事態はさらに悪化することが懸念される。
 ところが米国は北朝鮮が非核化の意思を示さない限り、協議に応じないとしている。疑問だ。非核化の意思を示さないからこそ、北朝鮮と話し合うことが必要なのである。北朝鮮を対話に応じさせるため国際社会が一致して努力し続けることが重要だ。米国はその機運づくりにこそ注力すべきだ。
 決議は北朝鮮への航空機・ロケット燃料を原則輸出禁止とし、兵器は全面輸出禁止にした。北朝鮮国民の生活に影響が及ばない範囲で石炭、鉄鉱石を含む鉱物資源の輸入も禁止した。北朝鮮経済の大きな打撃となり得る。
 このため北朝鮮は決議の厳密な履行阻止へと動くことが予想される。軍事挑発で緊張を高めたり、サイバーテロで国際包囲網に揺さぶりをかけたりすることが十分考えられる。
 それでも国際社会には一致して制裁を履行することが求められている。それが実行できれば北朝鮮が対話の席に着く可能性も高まるだろう。一方で、制裁に反発する北朝鮮が暴発する恐れも否定できない。それを防ぐためにも対話の場を設けねばならない。