<社説>続く立ち入り制限 辺野古の海を開放せよ

 米軍普天間飛行場の移設に伴う名護市辺野古の埋め立て承認取り消しをめぐり、国が翁長雄志知事を訴えた代執行訴訟で和解が成立して1カ月が過ぎた。

 工事は止まった。だが、市民の立ち入りを常時禁止する561・8ヘクタールもの臨時制限区域は依然残り、区域を囲う浮具(フロート)は放置されたままである。
 和解成立を受けて国土交通相による「辺野古埋め立て承認取り消しの執行停止」を国が取り下げたことで、翁長雄志知事が出した埋め立て承認取り消しの効力が復活した。このため、国は工事を進める法的根拠を失い、埋め立てに関連する工事を止めている。
 工事をしないのであれば、浮具は無用の長物でしかない。美しい辺野古の海にそぐわない浮具を、国はいつまで放置するつもりか。
 国は沿岸から50メートルだった常時立ち入り制限区域を、2014年6月の日米合同委員会で最大約2キロまで広げた。国はその際、区域拡大は代替施設建設にかかる区域の保安のほか、工事に対する住民の反対運動などの影響で、米軍の訓練が阻害されないためだと説明していた。
 工事が止まった今、「工事にかかる区域の保安」との理由は成り立たない。通常は制限区域であっても米軍の訓練がある時だけ立ち入り禁止となる。訓練がほとんど行われていない辺野古の臨時制限区域で、常時立ち入りを制限する必要はない。
 国が国民の自由な活動を規制することは、あってはならない。仮に規制することが正当だと認められる場合でも「制限」は、必要最小限にとどめることが求められる。その原則からしても、規制する必要の全くない臨時制限区域を残しておくことは、権力の乱用以外の何物でもない。
 そもそも臨時制限区域の拡大は直接影響を受ける地元の頭越しに決まった。このような乱暴なやり方自体認められない。当然、無効である。
 菅義偉官房長官は県との和解成立から1カ月たったことについて「和解条項に基づいて誠実に対応していきたいし、現実に対応していると思っている」と述べた。
 国に「誠実」に対応する気があるならば、臨時制限区域を解除するのが筋である。県民のかけがえのない財産とも言える辺野古の豊かな海を直ちに開放すべきだ。



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