<社説>観光客793万人 国内客対策に知恵絞ろう

 観光客800万人の大台は目の前だ。沖縄観光の飛躍を期し、国内客向けの対策を急ぎたい。

 県文化観光スポーツ部が発表した2015年度の入域観光客数は前年度比10・7%増の793万6300人となり、過去最高を更新した。県経済を支える観光業が好調に推移していることの表れだ。
 外国人客の大幅増が全体の伸びに貢献した。前年度比69・4%増の167万300人が沖縄を訪れた。海外路線の拡充やクルーズ船の寄港回数の増加が要因だ。円安傾向も外国人客の増加を促した。
 数日間の旅行を通じて、多くの外国人が沖縄の歴史や文化、自然に接したであろう。そのことは観光産業の振興にとどまらず、アジアの交流拠点の形成を図る上でも好材料だ。引き続き外国客の誘客に力を注ぎたい。
 そのためにも、クルーズ船が接岸できる岸壁の整備を急ぐ必要がある。公衆無線LAN「WiFi」の普及や両替場の増設など外国客の利便性を高める施策も不可欠だ。
 通訳ガイドの確保も忘れてはならない。昨年2月、飲食店で倒れた香港観光客と意思疎通が図られず、医療措置が遅れる不幸な出来事があった。観光客の安全に関わる問題だ。同じことを繰り返さぬよう、教訓を生かすべきだ。
 国内客が前年比1・3%増と伸び悩んでいる点は留意しなければならない。県は台風接近や国内観光地との競合を理由に挙げている。しかし、台風は毎年のことだ。国内客の沖縄離れが生じている可能性もある。対策を急ぐべきだ。
 マリンレジャーを目的とした若年者だけではなく、富裕層を含む幅広い観光客層を掘り起こしたい。その前提として観光客の満足度を高める商品開発が必要だ。久しく指摘されている「観光の質」の追求に今こそこだわりたい。
 例えば、県内各地の観光協会が「まちまーい」などの名称で取り組む街歩き観光は、沖縄の魅力を発信する上で効果的だ。街中を歩きながら沖縄の独特な歴史や文化に直接触れることができる体験型観光は幅広い客層を引き付けるはずだ。
 食と土産品の魅力づくりにも知恵を絞ろう。沖縄の風土に育まれた素材を最大限に活用すれば大きな誘客効果を生むだろう。
 「沖縄ブランド」に磨きをかけることが観光振興の要となる。県民の創意工夫を求めたい。