<社説>係争委陳述 県の主張にこそ正当性ある

 米軍普天間飛行場の移設問題を巡り、知事の名護市辺野古の埋め立て承認取り消しに対する国土交通相の是正指示の適否を審査する国地方係争処理委員会の第3回会合が開かれ、県と国の双方が意見陳述した。翁長雄志知事は辺野古の埋め立てについて「人類共通の財産を地球上から消失させた壮大な愚行として後世に語り継がれることになりはしないかと危惧している」と述べ、新基地建設計画を「壮大な愚行」と表現した。極めて妥当だ。

 理由について知事は辺野古など大浦湾に絶滅危惧種262種を含む5800種以上の生物を確認していることを例示した。このため公有水面埋立法で定める「埋め立てが環境保全および災害防止に付き十分配慮せられたるものなること」に該当せず、前知事が出した承認には瑕疵(かし)があると主張した。誰から見ても承認に瑕疵があることが分かる。説得力のある主張だ。
 これに対して国は「承認処分には何ら瑕疵がない」と反論した。一方でこうも付け加えている。「仮に何らかの瑕疵があっても承認処分を取り消すことによる不利益は本件において極めて重大だ」と主張し、承認取り消しを「許されないというべきだ」と訴えた。
 瑕疵はないと言いながら、たとえ瑕疵があっても承認取り消しは「許されない」というのだから、法律も何もあったものではない。国のやることには、つべこべ言わずに従えとの傲慢(ごうまん)さが表れている。
 国の「上から目線」の主張は他にもある。埋め立てが米軍基地建設が目的であることを理由に「『なんで沖縄ばかりこうなっているんだ』うんぬんということは沖縄県知事が考えることではない」と言い放つ。そうであれば国が県に埋め立て承認を得る必要などないではないか。独裁国家と何も変わらない。
 また国は辺野古移設の正当性を1999年に当時の稲嶺恵一知事と岸本建男名護市長が受け入れたことを根拠に挙げた。しかし政府はこの時の閣議決定を2006年に自ら廃止した。論理破綻も甚だしい。
 係争委は県と国に質問書を送り回答を求めている。その後に承認取り消しの適否を判断する。今回の陳述で県側の主張にこそ正当性があることが明確になった。係争委には独立機関として公正中立な判断を出してもらいたい。



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