<社説>パリ協定 再生可能な電力こそ主軸に

 地球温暖化対策の新枠組み「パリ協定」に日本など175の国・地域が署名した。国際協定の署名初日に調印する国としては、これまで最多だった国連海洋法条約の119を大幅に更新した。一刻も早く協定を発効させ、対策を強化しなければ、取り返しのつかないことになるとの各国の危機感を反映した結果と言える。

 協定では産業革命以降の気温上昇を2度未満に抑えることを定め、できれば1・5度以内に抑えるよう努力することを確認した。今世紀後半には温室効果ガス排出量を実質的にゼロにすることを目指すとしている。各国の実効的な取り組みが必要だ。
 2015年の世界の平均気温は平年を0・42度上回り、過去最高を更新した。異常気象による被害も増えており、水没の危機にある島国や防災基盤のもろい発展途上国の危機感は大きい。
 パリ協定は京都議定書に代わるものだ。京都議定書は先進国だけに温室効果ガスの削減義務を課したが、パリ協定は発展途上国も含む全ての国が自主的な目標を掲げて対策に取り組む。先進国だけでなく世界全体で努力するとの今回の協定は意義深い。
 注目されるのは温室効果ガスの二大排出国である中国と米国の動向だ。協定を発効させるには、少なくとも55カ国が批准し、温室効果ガス排出量の合計が世界全体の55%に達する必要があるとの規定があるからだ。米中の排出量だけで38%を占めることから、両国が批准すれば早期発効の可能性が高まる。両国は早期に批准すべきだ。
 日本も批准に向けた取り組みを加速させる意向だ。政府は「地球温暖化対策計画」で、30年度までに国内の温室効果ガス排出量を13年度比で26%削減するための対策を盛り込んだ。
 しかし政府は原発を「ベースロード電源」と位置付けており、原発を高い割合で再稼働させることを前提にしている。一方、欧州や米国の一部の州では価格が低下している再生可能エネルギーを積極的に導入している。日本とは対照的だ。
 福島第1原発の事故を経験している日本こそ、原発が放射能汚染という環境破壊をもたらすことを身をもって体験している。そうであるならば、自然を汚さない再生可能エネルギーを「ベースロード電源」に位置付けて、温室効果ガスの削減に取り組むべきだ。



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