<社説>シュワブ騒音超過 調査尽くし二重基準改めよ

 米軍基地の運用による生活侵害の中でも、騒音は分かりやすい物差しである。基地の提供責任者である国には、被害に歯止めをかける手だてを尽くす責務がある。

 にもかかわらず、沖縄の演習場には適用しない二重基準を貫き、騒音の実態調査さえ実施せずに責務を逃れることは許されない。
 米軍キャンプ・シュワブ内での爆破訓練に伴って発生する騒音が、県外の自衛隊演習地周辺の住宅防音工事の対象となる基準値を超えていたことが分かった。
 基地騒音を多角的に検証している渡嘉敷健琉球大学准教授が、シュワブ基地に近い沖縄工業高等専門学校屋上で計測し、基準値超えが実証された。
 県外の演習場で騒音を示す「LCden値」を4月に測定したところ、84・5デシベルを記録し、基準値の81デシベルを上回った。
 あらためて、米軍演習場の砲射撃音にさらされる周辺住民への差別的処遇を確認しておこう。
 防衛省は在沖米海兵隊の実弾砲撃演習の移転先を含めた本土の10演習場をめぐり、基準値を超えた場合、騒音軽減を図る住宅防音工事対象に補助金を交付している。
 だが、県内の場合、キャンプ・ハンセンで155ミリりゅう弾砲の激しい実弾砲撃演習が実施されていた当時から、住宅防音工事への補助どころか、実態を把握する調査は全く行われてこなかった。
 沖縄の基地周辺住民の命の重さを軽んじる二重基準、防衛行政の怠慢と言うしかあるまい。
 沖縄防衛局はシュワブ基地周辺の防音工事が必要な騒音が発生しているとは認められないとの見解を示している。
 1998年と2000年、01年~02年の調査を基に数値をはじき出しているが、14年以上前の調査が騒音の実態を反映しているのか。さらに、名護市の独自調査による80デシベル以上の騒音発生回数が年間500回程度であることに焦点を当て、調査を実施しない根拠に据えている。
 渡嘉敷准教授は「沖縄と他府県で対応が違う根拠が不明確。授業や試験が行われる高専での影響をどう考えているのか」と指摘し、実態調査の必要性を強調した。
 防衛局は最新の調査を尽くすべきだ。稲嶺進名護市長の「専門家の調査を受けても調査しないなら、沖縄差別の政策が明らかになる」との指摘は的を射ている。



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