<社説>うるま陸自訓練場計画 「反対」の地元意思尊重を


<社説>うるま陸自訓練場計画 「反対」の地元意思尊重を
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 地域自治会の意思は「訓練場ノー」である。地元の声を真摯(しんし)に受け止め、防衛省は計画を撤回すべきだ。知事や地元市長も地元の意思を最大限に尊重し、県や市の判断を表明しなければならない。

 防衛省がうるま市石川のゴルフ場跡地に陸上自衛隊の訓練場を整備する計画に対し、石川地区の15自治会長で構成するうるま市石川地区自治会長会は計画に反対することを決めた。地元の旭区や東山区も反対を決めており、自治会長会の決定で15区が訓練場反対で足並みをそろえた。
 住宅地に隣接する地域に造られようとしている陸自訓練場に住民が不安を抱くのは当然である。生活にいかなる影響を及ぼすのか判然としていない。予定地の近くにある県立石川青少年の家の所長は「通常の活動ができなくなる」と危惧している。
 地域住民の不安に向き合わないまま計画を強行してはならない。沖縄防衛局の職員が地元を訪れ、計画概要を説明したのは昨年12月22日である。この日、予定地の土地取得費を盛り込んだ予算案を閣議決定した。地元軽視と言わざるを得ない。
 今月11日に防衛省は説明会を開催する予定だが、対象となるのは旭区、東山区の住民だけで、両区以外の住民の参加を認めない方針だ。必要に応じて身分証明書の提示を求めるという。
 石川地区の自治会長会が反対の意思を示した以上、計画は2区だけの問題ではない。うるま市全体に問題が広がっている。そのことを防衛省は認識すべきだ。
 防衛省は3月中に、同じうるま市にある陸自勝連分屯地で地対艦ミサイル部隊とミサイル連隊本部の新編を予定している。この部隊増加に伴い訓練場整備が必要になっているのだが、市民から見れば基地負担の増加に他ならない。市民の平穏な生活の保障、市全体のまちづくりなど多岐にわたる話である。
 ここで焦点となるのが玉城デニー知事、中村正人うるま市長の判断である。
 玉城知事は1月31日の記者会見で、計画への賛否は言明しなかったものの「計画ありき、予算ありきで物事が進められては、地域の安心安全な生活が成り立たない」と国を批判した。一方、計画に反対するよう求める1月26日の旭区の要請に対し、中村市長は「(防衛省と)話をしていかないといけない」と返答した。中村市長も計画へのスタンスを表明していない。
 玉城知事や中村市長に求められるのは地元住民の不安や自治会長会の反対決定を踏まえた対応である。県やうるま市は待ちの姿勢ではなく、訓練場計画の情報開示を防衛省に求め、地域への影響を分析してほしい。住民生活への悪影響や安全上の問題があるならば計画撤回を迫るべきだ。
 賛否を明確にせず、問題を地元住民に預けることは計画の黙認、加担でしかない。