<社説>キングス4度目V 沖縄魂発揮した快挙だ


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 「小さな沖縄から日本でトップに立った。ウチナーンチュ万歳」。ふだんは感情を表情に出さない伊佐勉監督が涙ぐみながら、故郷への感謝を表現した。

 故郷の声援を背に受けた魂のこもった奮闘ぶりは、多くの県民に誇りと感動を与えただろう。
 プロバスケットボールTKbjリーグで、琉球ゴールデンキングスが2年ぶり4度目の優勝を果たした。
 沖縄社会を勇気付ける快挙である。声援を送った県民と喜ぶとともに、感動をもたらしたチームを心からたたえたい。
 11年目を迎えたbjリーグは今秋、トップリーグのBリーグに発展統合される。bjリーグ参入9年目のキングスはその最後のシーズンで、単独最多優勝チームとして歴史に名を刻んだ。
 昨季はプレーオフで敗退し、岸本隆一主将らは「最悪のシーズンだった」と振り返る。悔しさを忘れず、雪辱を期す選手の精神力が強固なものとなり、シーズン終盤には球団新の16連勝を達成するなど、チーム力は上昇の一途だった。
 14日の西地区決勝で分が悪かった京都を大差で下し、決勝では初優勝を狙った富山を86対74で危なげなく退けた。
 チームの真骨頂である「人とボールが動き続ける」プレースタイルが途切れることはなかった。攻撃力がある富山に流れを渡さない厳しい守備が要所で機能し、ここぞという場面で正確なシュートが決まり、勝負強さが際立っていた。
 質と量を伴った厳しい練習で培われたスタミナは抜群で、運動量が落ちない。相手の焦りを呼び、フリースローでも得点を重ねる冷静沈着な試合運びには、王者にふさわしい風格が漂っていた。
 監督在任3季で2度の優勝を果たした伊佐監督の手腕を高く評価したい。常にトップチームと目される重圧を力に変え、チームを支える地域や企業と一つになったチーム運営も大きな強みを発揮した。
 今秋開幕するBリーグは、ナショナル、bjの両リーグが一つになるプロリーグだ。キングスはトップの「B1」18チームに加わる。
 平均観客数が3千人を超え、キングスは国内トップ級の動員力がある。ホームアリーナも沖縄市に建設される。地域密着をさらに強め、B1でも優勝を勝ち取ってほしい。県民も沖縄の財産であるキングスを支えていきたい。