<社説>制約なきオスプレイ どこの国の役所なのか

 いったいどこの国の役所なのか。情けないにも程がある。

 米海兵隊の垂直離着陸輸送機MV22オスプレイの普天間飛行場配備直前、日本政府が米側に対し、「オスプレイの運用に制約を課すことなく取り得る措置」を提案していたことが分かった。
 2012年7月の日米合同委員会の内部文書で判明した。オスプレイはその3カ月前の4月にモロッコで墜落、6月には米フロリダでも墜落した。配備反対の世論が高まっていた時期だ。日本政府は、民意を受けて配備中止を求めるどころか、逆に制約なしに飛んでもよいと自らお墨付きを与えたのである。
 普天間配備の際に政府が強調した安全策は、プロペラの向きも飛行高度も、いずれも守られていない。抜け穴だらけの「ざる合意」だった理由がこれではっきりした。
 卑屈なまでの対米従属と言うほかない。日本政府は沖縄の住民の生命を守るどころか、むしろ積極的に危険にさらしているのである。
 もっと問題なのは、オスプレイの事故の報告書について「安全性を十分に確認させるもの」を出すよう、日本側から求めている点だ。最初から「安全だ」という結論を決め、それに沿って文書を作るように求めているのである。
 驚くのはそれだけではない。その年の6月、米国は日本全国に広がる低空飛行ルートを記した「環境レビュー」を公表したが、それについて日本側は「低空飛行が全国的な問題となり、対応に苦慮している」と苦言を呈した。
 これに対し米側は「申し訳ない」と述べている。昨年10月、横田基地(東京)にオスプレイを配備した際の米国の環境レビューには飛行ルートは書かれていない。日本側が情報隠蔽(いんぺい)を求めた結果だと見てまず間違いない。自国の国民を目隠しするよう外国に求める政府が、日本以外のどこにあるか。
 エンジン出力喪失時に関するやりとりも興味深い。「オートローテーション(回転翼の自動回転)か滑空のいずれの場合も安全に着陸できる場周経路を」と日本側が求めている。
 滑空で安全に着陸するには3千フィートの高さが必要だが、普天間の場周経路は1500フィートしかない。オスプレイはオートローテーション機能を欠くから、「いずれの場合も安全に着陸」できないのである。
 結論は明らかだ。今すぐにオスプレイの飛行を停止させるしかない。