<社説>子どもの貧困シンポ 希望は人と人のつながり

 心ある人と人がつながればもっとできることがある。

 子どもの貧困問題を解決するために何ができるか考えるシンポジウム「希望この手に~沖縄の貧困・子どものいま」で確認した提言だ。
 未来を担う子どもは、地域社会の宝であり、子どもの貧困は個人の問題ではなく社会の問題だ。子どもの将来が生まれ育った環境によって左右されない社会を実現するため、行政・地域・学校が一体となって取り組みを強化したい。
 県が1月に発表した子どもの貧困率は29・9%で、全国平均の16・3%(2012年)に比べて深刻さが際立つ。さらに困窮世帯の子や孫に貧困が継続される負の連鎖を引き起こしている。
 沖縄戦で孤児や母子家庭が生まれ、学校も破壊された。続く27年間の米国統治で教育・福祉・子育て施策が遅れた。日本復帰後は公共工事に予算が重点配分されたため、教育・福祉に十分回せなかった。このつけが子どもの貧困という形で顕在化している。
 では今、私たちは何をなすべきか。シンポジウムは子どもの貧困問題に詳しい研究者や支援者、当事者が意見を交わし提言した。
 県子ども未来政策室の川満孝幸さんは、乳幼児期から小中高校、大学、支援を要する若者、保護者を対象にした県の「貧困対策計画」を紹介した。数値目標を設定したことを評価したい。県は子どもの貧困対策推進基金30億円を創設し、就学援助する。全国的に例がなく意欲的な取り組みだ。
 当事者として施設入所を経験した山城謙人さんは民間の支援団体が増え、それを県と国が後押しする仕組みづくりを訴えた。体験に基づいた提言だ。
 琉球大学の上間陽子教授は、善意だけに頼らない行政の支援や、貧困を人権問題として捉えるよう強調した。多忙な小学校教諭に対し「子どもたちにたくさんしゃべらせたっぷり聞く」必要性にも触れた。蟇目(ひきめ)崇さんの「専門性には人間性が含まれる」との指摘も重要だ。
 大阪子どもの貧困アクショングループの徳丸ゆき子代表は「心ある人がつながればもっとできることがある」「最後は人が支えるしかない」と提言した。しっかり受け止めたい。貧困問題の解決に向けて、私たち一人一人が今、行動を起こすことが、子どもたちの希望につながるはずだ。









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