<社説>県議会抗議決議 海兵隊撤退で人権を守れ

 残忍な事件に対する県民の激しい怒りと苦悩を込めた決議だ。日米両政府、特に伊勢志摩サミットに出席している安倍晋三首相とオバマ米大統領は沖縄の民意を正面から受け止めるべきだ。

 県議会は米軍属女性遺棄事件に対する抗議決議と意見書を可決した。普天間飛行場の県内移設断念、在沖米海兵隊の撤退と米軍基地の大幅な整理縮小、日米地位協定の抜本改定を求めている。
 中でも海兵隊の撤退を初めて盛り込んだことは重要だ。否決された自民の抗議決議案も海兵隊の大幅削減を盛り込んでいた。在沖米海兵隊の撤退要求は県民の総意だ。
 米軍基地から派生する重大事件・事故による人権侵害の多くは海兵隊駐留に起因している。暴力装置である軍隊と県民生活は到底相いれない。海兵隊は県民と真っ向から対立する存在だ。
 1993~96年に駐日米大使を務めたウォルター・モンデール氏は、米側が海兵隊の沖縄撤退を打診したのに対し、逆に日本政府が引き留めたという事実を本紙インタビューで明らかにしている。
 そもそも海兵隊はアジア太平洋を巡回配備しており、沖縄を守るために駐留しているのではない。森本敏元防衛相は「海兵隊が沖縄にいなければ抑止にならないというのは軍事的には間違い」と明言した。在沖米海兵隊の「抑止力」の虚構性は明らかだ。
 90年代に海兵隊撤退が実現していれば、今回の事件は起きなかったのではないか。米側の打診を断った日本政府の責任は極めて重い。
 海兵隊撤退は県民の人権を守るため、譲ることができない要求である。両政府は県民要求の実現に向けて直ちに協議に入るべきだ。
 採決で自民などが退席したのは残念だ。「事件と普天間飛行場移設問題は切り離すべきだ」というのが理由である。しかし、新基地建設断念は県民要求だ。自民は沖縄の民意に寄り添ってほしい。
 嘉手納基地第1ゲート前で開催された緊急県民集会で採択した緊急抗議決議も米軍基地の大幅な整理縮小と合わせて、新基地建設断念と普天間飛行場の閉鎖・撤去をうたっている。
 県民の生命・財産を守るための最低レベルの要求だ。大会に参加した4千人は犠牲となった女性を悼み、悲しみの中で要求を突き付けたのである。それに応えるのは日米両政府の責務だ。









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