<社説>地位協定改定要求 政府は対米折衝に踏み出せ

 安倍政権が専管事項と言い張る外交に関する問題であろうと、米国に強大な権限を与え過ぎて日本の主権が制約され、基地周辺住民の生活が脅かされ続ける。

 そのような卑屈でいびつな状況を改めねばならないという、多数の国民の思いが示された。
 在日米軍の法的地位を定めた日米地位協定を巡り、共同通信社の全国世論調査で「改定するべきだ」との回答が71%に上った。安倍政権は国民の声を真摯(しんし)に受け止め、抜本的改定を求める対米折衝に踏み出すべきだ。改定を求めないことには、これまで通り何も変わらないのだ。
 米軍属の凶行に対する怒りを呼び起こした女性遺棄事件を受け、県内には日米地位協定改定要求が強まっているが、国民全体の考えもほぼ符号している。
 日米首脳会談で、安倍晋三首相はオバマ大統領に地位協定改定を求めず、腰が引けた対応に終始した。オバマ氏も同意し、日米両政府は運用改善で済まそうとしている。だが、何を改善するのかさえ示されず、全く具体性に欠けている。改定しないのであれば、お茶を濁すことにさえならない。
 米兵事件が起きるたびに沸き起こる改定要求に対して、日本側が「ゼロ回答」を繰り返す卑屈な対応はもう許されない。
 安倍政権は沖縄の怒りが収まるのを待っているかのようだが、国民世論は決して納得していない。米国に唯々諾々と従うばかりの外交姿勢に批判を強めているのだ。
 基地周辺住民の人権や生活環境が軽んじられ、米軍最優先の基地運用が続く中で被害者が生み出されている。この悪循環の根源は地位協定にあることは明白だ。
 世論調査結果を見ると、「改定するべきだ」が安倍政権支持層でも67%に達しているのが特徴だ。不支持層は81・9%に上る。与党の自民支持層でも65・7%、公明支持層は75・5%である。広範な世論と言える数値だ。
 日米地位協定は、軍人、軍属ら米軍構成員に特権意識を与えてきた。公務外に基地外で起こす事件でも、凶悪犯以外は基地内に逃げ込めば、すぐに日本側に身柄が引き渡されない。
 米軍基地返還時に汚染が見つかっても、米側が浄化する責務さえ課していない。米国に屈従し、主権国家と名乗ることさえはばかられる。戦後71年たっても続く異常極まる状況を断ち切るべきだ。
英文へ→Editorial: Japanese government takes no initiative to negotiate SOFA amendment with US









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