<社説>退役米軍人声明 米軍撤退主張を支持する

 沖縄は「テロの状況そのもの」という指摘は的を射ている。

 米国の退役米軍人でつくる「ベテランズ・フォー・ピース(VFP)」琉球沖縄支部が米軍属女性暴行殺人事件に対する声明を発表した。
 テロとは、被害者を無作為に選択することで、暴力による脅威を増幅させる手段と定義する。軍服の敵兵だけでなく誰でも標的になり得る。
 VFPは、今回の事件のように沖縄の被害者が無作為に選ばれるから「テロ的な状況」と指摘する。そして「日米両国が反テロ運動に取り組むのであれば、ここ沖縄から始めなければならない」と訴えた。つまり基地撤去である。退役軍人の主張だけに説得力がある。VFPの主張を支持する。
 県警によると、1972年の日本復帰後、米軍構成員(軍人、軍属、家族)による県内での凶悪犯罪は2013年を除き毎年発生している。県警の犯罪統計書や発表資料によると、米軍構成員による凶悪犯罪は1972年5月15日から2015年末までの間に574件発生し、741人が摘発された。
 このうち強姦(ごうかん)は129件147人。日本復帰後、毎年3人が被害に遭っている計算だ。件数より加害者数が多いということは複数による凶行が含まれることを示す。
 犯罪が起きるたびに米当局は「再発防止に努める」と繰り返す。そして日本政府は「軍人教育と綱紀粛正の強化」を求める。しかし犯罪は繰り返される。なぜか。
 VFPは「軍人教育と綱紀粛正」がジレンマを抱えているからだと分析する。軍隊は「良き隣人」訓練だけでは、実際の戦場で戦うことができない。そこで効果的な殺人者となる非公式な教育も受けている。
 専門家は、海兵隊では男性的な攻撃性を突出するために、徹底的に女性を蔑視する非人間的な訓練が行われ、人間としてのバランスを失っていくと指摘する。
 海兵隊で綱紀を粛正し非公式教育を担うのが海兵隊の3等軍曹(E5)だ。今回の女性暴行殺人の容疑者は元3等軍曹だった。VFPは「海兵隊教育と綱紀粛正」の文化こそ、今回の犯罪を生み出したと結論付けている。
 軍隊教育で犯罪の再発を防げず、沖縄の女性がテロの被害におびえるのはごめんだ。再発防止は海兵隊の撤退しかない。