<社説>参院選18歳調査 危機感持ち関心を高めよ


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 政治に関心がなく、投票にも行かない。そんな若者ばかりの国に豊かな未来は訪れないだろう。

 若者の政治離れの要因には、政党や政治家の側に、政治を身近なものに感じさせる努力不足がある。それが照らし出された。
 来月10日に投開票される参議院議員選挙から選挙権を得る18、19歳を対象にしたインターネット意識調査の結果、「政党が若い世代に政策を分かりやすく訴えていると思わない」との回答が88・3%に上った。「訴えていると思う」の11・7%の約8倍の数値である。
 投票する候補者や政党を「決めている」「だいたい決めている」は24・5%で、4人に3人が未定としている。参院選への関心の有無は半々で拮抗(きっこう)しており、関心度は高まっていない。
 18歳選挙権の導入は国民主権を深化させる絶好の機会だが、政党の対応は小冊子などの作成などにとどまり、若者を振り向かせる実効性に乏しいと言わざるを得ない。それは県内でも当てはまる。
 政策をきめ細かく伝え、新たな世代の主権者に判断材料を提示する役割を果たすため、各政党は危機感を持って取り組むべきだ。
 選挙権年齢が「18歳以上」に引き下げられたのは、若者の政治への関心を高め、主権者の責務を果たしてもらう狙いがある。新たに有権者に加わるのは高校3年生も含めて、全国で240万人、県内で約3万3千人に上る。
 2013年7月の参院選で投票した世代の割合は、60歳代は10人に7人近くだったのに対し、20歳代は3割にとどまった。沖縄でも若者の政治離れが深刻化している。
 参院選沖縄選挙区の投票率は、沖縄の施政権返還前の1970年の83・64%が最高だった。沖縄の未来を老若男女の有権者が真剣に考えていた時期である。それ以来、投票率は総じて下がり続け、2004年7月、07年4月(補欠選挙)、10年7月は全国平均を下回った。
 基地問題など、県民生活に直結する課題が横たわる沖縄で続く投票率の低落傾向は、主権者意識を希薄化させる。
 政治はあくまで自分たちのためにあり、若者を含めた有権者の1票を通して社会は変えられるのだ。それは民主主義の核心だ。
 若者たちの関心を高め、投票率を上げることは、この国、沖縄の未来を開く礎となる。政治に携わる全ての人が意識を高めたい。