<社説>関東沖縄経営協50年 誇り保ちさらなる発展を


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 沖縄が米軍統治下にあった1966年に東京で発足した沖縄出身、沖縄系経営者のネットワークが大きな広がりを見せている。沖縄に誇りを持つ経営者の奮闘は母県にとっても心強い。沖縄の将来を支える若者たちの目標ともなろう。

 関東沖縄経営者協会(仲松健雄会長)の「創立50周年記念大会」が東京で盛大に催された。
 沖縄の歴史に寄り添い、母県の経済発展にも資する志を持ちながら、関東の地で事業発展と経営者の資質向上への努力を重ねてきた会員と、協会の発展に努めた歴代会長らの奮闘に敬意を表したい。
 結成当初は19社だった会員が200社に達し、一般社団法人化も成し遂げたことは特筆される。さらなる発展と絆づくりに向け、一層活発な活動を目指してほしい。
 記念講演した比屋根毅氏は、菓子製造のエーデルワイスを創業して50年。大阪での面接で「日本語は話せるか」と言われた悔しさをバネに、一代で7ブランド80店舗を擁するまでになった。「内地の人に負けない」という気概を持ち、絶えず挑戦する姿勢は示唆に富む。
 1960年から7年で国民所得倍増が達成されるなど、日本経済が急成長していた66年6月、関東沖縄経営者協会が設立された。本土在住の県人が初めて組織した経済団体への参加は19社だった。
 経営環境の変動などもあり、2006年の40周年の後、会員が33社まで減った時期もあったが、8代目の仲松会長や重田辰弥前会長が会員の結束と沖縄への帰属意識を高める活動に腐心し、会員を200社にまで増やした。
 県経営者協会との交流のほか、沖縄の歴史、文化を学ぶ研修も充実させ、飲食業やIT(情報通信)業界などで起業した若手経営者が加わり、好循環を生んでいる。
 東京沖縄県人会長も務める仲松会長が掲げる「経営手腕のスキルアップ」「会社拡大のスケールアップ」「顧客や社員が笑顔でいられるスマイルアップ」の3Sは、会員の成長を図る分かりやすいスローガンだ。会員を急増させた手腕を評価したい。
 観光客が793万人に達するなど、着実に成長する沖縄経済の最新事情を把握し、新たなビジネスチャンスにつなげる感度を研ぎ澄ましてほしい。会員から東証1部、2部上場企業の登場も期待される。活動の礎に宿るウチナーンチュ魂を保ち、母県を支えてもらいたい。