文部科学省の2023年度の問題行動・不登校調査で、全国の小中学校で不登校の児童生徒が11年連続で増加し、3・7%に当たる34万6482人になった。学校内外の居場所づくりや教員の働き方改革など、文科省はさまざまな対策をとっているが、追いついていない。不登校の保護者は困難の中にある。学校での対策とともに、不登校の児童生徒とその保護者への支援にもっと力を注ぐべきだ。
沖縄県の不登校も小中高合わせて8240人で、小中は過去最多で合計も最多だった。割合は小中高とも全国平均を上回り、小学校はワーストだった。今年6月に公表された県の「沖縄子ども調査」では、不登校、いじめ、ひきこもり、高校中退、ヤングケアラーなど子どもが抱える困難の経験は、所得が低いほど割合が高かった。沖縄では貧困対策も合わせた総合的抜本的な取り組みが必要だ。
22年にNPO法人「登校拒否・不登校を考える全国ネットワーク」の保護者への調査で、不登校により支出が増えたという回答が91・5%に達した。増えた理由は、食費が最も多く、フリースクールなどの利用料と交通費、通院・カウンセリング料が続いた。勤務日数を減らさざるを得ず、約30%が世帯収入が減ったと答えた。
今年10月公表された東京のフリースクール運営会社SOZOWの調査では、保護者の5人に1人が仕事を辞めざるを得なかったと答え、半数以上が「気分の落ち込み」があると答えた。同社代表は「自治体によって相談窓口の整備状況や取り組みにばらつきがある。親が孤立しない環境の整備が必要だ」と訴えた。
不登校急増の原因は明確ではないという。文科省の前回22年度の調査では不登校の理由については、本人に起因する「無気力・不安」が過半数の51・8%を占めた。しかし、不登校を経験した小中高生や担任らに尋ねた委託調査とは大きな隔たりがあった。そのため、今回は相談など具体的な事実があったかを尋ねる形式にしたが、傾向は変わらなかった。学校側だけでなく、児童生徒本人に答えてもらう方法を検討すべきである。
この間、文科省は教員数の増加や働き方改革、「校内フリースクール」と言われる校内教育支援センターの設置などを進めてきた。「校内の居場所」を民間と連携してつくる動きもある。こども家庭庁は来年度の概算要求に、専門の支援員を自治体に配置し、地域と連携しながら保護者向けの相談を受ける制度を盛り込んだ。多種多様な支援の動きは評価したい。
不登校急増の背景に「過度な決まり事や指導で、子どもが安心できない学校になっていないか」と問う声も現場にある。一人一人それぞれの学びの形として、学校が変わり、学校以外の方法も認められ保障される教育政策が求められている。