<社説>オスプレイ緊急着陸 日米は危険性直視せよ


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 米軍の「安全宣言」は、何の裏付けもない空手形だったことがはっきりした。

 米軍普天間飛行場所属の垂直離着陸機MV22オスプレイが民間専用の大分空港に緊急着陸した。その前日には山口県の岩国基地で白煙を上げ、6月には伊江島補助飛行場に緊急着陸した機体と同一機である。
 2度もトラブルを起こしたにもかかわらず、不具合を解消できていなかったのである。欠陥機であることがあらためて明らかになった。欠陥がなければ、整備体制などに問題があるということにしかならない。
 いずれにせよ、オスプレイの危険性に変わりはない。飛行を直ちに中止すべきだ。
 在日米海兵隊は運用規定に従い、最も近い空港に「予防着陸」したと説明。一方で、エンジンの交換が必要とも九州防衛局に伝えている。
 米軍は「離陸するまでに徹底的な点検を実施する」としていた。点検によってエンジンを交換しなければならないほどの重大なトラブルが見つかったのだろう。
 オスプレイの配備撤回を求める県議会の抗議決議を受け取った後に発表した声明で、在沖米海兵隊は「安全ではない航空機を飛ばすことはしない」と明言していた。
 それが真意ならオスプレイを飛行させるべきではない。声明発表直後に大分空港への緊急着陸は起き、安全性に強い疑問符が付いたが、沖縄での飛行は続けている。行動を伴わない声明に意味はない。
 ともあれ、今回の一連のトラブルの詳細な報告を米軍に求める。「安全宣言」に反するトラブルを起こした米軍には説明責任がある。不安を与えた側が速やかに説明するといった当然のルールを守るべきだ。
 それにしても、オスプレイの事故の多さは異常である。2012年の普天間飛行場配備以降、確認できているだけでも12件もの事故、不具合が発生している。24機のうち2機が墜落し、所属機に占める墜落事故率は8・3%にも上る。これで「安全」とは到底言い切れるはずがない。
 事故多発の原因の一つは、日米当局が「墜落」を「不時着水」、「緊急着陸」を「予防着陸」などと矮小(わいしょう)化していることにある。問題を直視してこなかったため、このような事態を招いたのである。米軍の言っていることを何ら検証せずに、追認しているだけの日本政府の責任は極めて重大である。
 日米のこのような姿勢の延長線上に、豪州沖で乗員3人が犠牲となった普天間飛行場所属オスプレイ墜落事故があることを深く認識すべきだ。
 日米がオスプレイの危険性を直視しなければ、いつか大事故が発生することを強く懸念せざるを得ない。県民が犠牲になる事態は何としても避けねばならない。普天間飛行場からのオスプレイ完全撤去を強く求める。