どう取り繕おうが、森友・加計問題の「疑惑隠し」は明らかだ。自ら約束した「丁寧な説明」をほごにすることは、国民軽視以外の何物でもない。引き続き安倍政治を選択するのか、それとも拒否するのか。解散総選挙を、民意を実現する好機にしたい。
衆院が解散された。安倍晋三首相が6月の通常国会閉会時の記者会見で、森友・加計問題に対する「丁寧な説明」を国民に約束したにもかかわらずである。野党の要求から3カ月以上たって開いた臨時国会で、審議を行わずに冒頭で解散したことは、国会軽視にほかならない。
首相は8月に内閣改造し「仕事人内閣」と命名した。だが各閣僚が役割を果たし、成果を上げたと評価する国民はいまい。
「丁寧な説明」「仕事人内閣」など、言葉だけで中身は伴わないとあっては、あまりに不誠実ではないか。
ともあれ、衆院選は10月10日公示、22日投開票に決まった。
今衆院選は日本の針路を決める上で、ひときわ重要な選挙になる。与党が過半数を維持すれば、安倍首相の来年9月の自民党総裁選での3選が確実視される。「安倍1強」体制が継続し、改憲勢力が再び衆院の3分の2以上を占めれば、平和憲法の根幹である9条が形骸化する恐れが現実味を帯びる。国民はそのことも念頭に判断すべきである。
全国的な争点は森友・加計問題のほか、憲法改正、アベノミクスの推進、消費税収の使途変更、原発問題などが挙げられる。
それ以外にも、安保法制などの成立過程で見られた安倍政権の強権姿勢も忘れてはならない。安倍首相の政治姿勢を厳しく問うことが求められていることを主権者である国民として改めて自覚したい。
沖縄では、米軍普天間飛行場の移設に伴う名護市辺野古への新基地建設の是非が最大の争点となる。
2014年の県知事選で、新基地建設に反対する翁長雄志氏が大差で勝利した。その直後の衆院選沖縄選挙区でも、反対する候補が全4選挙区で当選した。16年の参院選沖縄選挙区でも反対する候補が大勝した。
沖縄の民意は新基地建設反対で揺るがない。にもかかわらず、安倍政権はそれを無視し、話し合いにさえ応じず、強大な権力で工事を強行している。工事に必要な岩礁破砕許可を巡っては、法解釈を変えてまで国は正当性を主張している。
民意を踏みにじる安倍政権に、改めて沖縄の強固な民意を示す選挙と位置付けたい。
東京都議選で圧勝した小池百合子都知事が立ち上げた新党「希望の党」への民進党の合流など野党再編の動きが加速化したことで、国民の関心は高まっている。有権者は政策をしっかり吟味して投票することで、国民としての責任を果たしたい。