<社説>岩礁破砕初回弁論 実質的審理を求める

 守るべきルールは当然守るべきだ。

 名護市辺野古の新基地建設工事を巡って、無許可の岩礁破砕は違法として県が国を相手に岩礁破砕の差し止めを求めた訴訟の第1回口頭弁論が那覇地裁で開かれた。
 争いの原因は、沖縄防衛局が岩礁破砕許可を申請しなかったことにある。国側はそもそも訴える権利が県にないとして、漁業権を議論せずに「入り口論」で裁判の終結を導こうとしている。
 防衛局の不申請は、法治国家がとるべき対応とは認められない。国にとって都合のいい解釈で法を運用することが許されるなら、法の安定性が危ぶまれる。那覇地裁には実質的な審理を求めたい。
 辺野古新基地建設に向け護岸整備の着工から5カ月余。現場では岩礁破砕許可を更新しないまま海に砕石が投じられるなど埋め立てに向けた護岸工事が着々と進む。今回の裁判は国の違法性を国民に広く知らせる機会である。
 翁長雄志知事は口頭弁論で、この訴訟は「沖縄県だけの問題にとどまらず、全ての地方公共団体の自主性と自立性が脅かされかねない問題」と訴えた。
 確かに地方公共団体が行う事務について、法令の所管省庁という立場を使って国の都合のいい関与を許せば、国と地方が「上下・主従」から「対等・協力」の関係にあるとした1999年の地方分権改革の趣旨に反する。
 辺野古沖の岩礁破砕許可は今年3月末で期限を迎えたが、防衛局は4月以降も海上作業を続行した。県は4月以降も許可更新が必要と5月29日に防衛局長宛てに通知したが、防衛局側は6月1日付で許可申請する意思がないと回答していた。
 今回の訴訟で県側は、辺野古の新基地建設工事海域には漁業権が存在し、工事に伴う岩礁破砕をするには県知事の許可が必要と主張している。さらに岩礁破砕は水産資源を保護する県の利益に損害を与えるため、判決まで工事の差し止めを求める仮処分を申し立て、8月から審尋が始まっている。
 この訴訟は辺野古への新基地建設の是非を問うものではない。だが知事はこう主張した。「こと沖縄県に関しては、自由・平等・人権・民主主義・自己決定権・地方自治にも目をくれず、辺野古ありきで新基地建設に突き進む国の論理が、そして、国地方係争処理委員会が求めた『真摯(しんし)な協議』も放棄した上で、法令に基づき行うべき手続きをもないがしろにしようとする国の姿勢が強く問われている」。その通りである。
 辺野古新基地建設工事を止めるには、知事による埋め立て承認の「撤回」が不可欠だ。知事は「あらゆる手段を使い、辺野古新基地建設を阻止する」と言明してきた。
 5度目となる今回の県と国の訴訟もその一つだ。裁判所に公正な判断を求める。