名護市辺野古の新基地建設は、隣接する辺野古弾薬庫の再開発を含む基地機能の再編・強化であることが改めて明らかになった。
米海兵隊が2014年に作成した内部文書「自然資源・文化資源統合管理計画」によると、普天間飛行場の県内移設計画に伴い「新たな任務に対応できるよう、キャンプ・シュワブおよび辺野古弾薬庫を再設計・拡張する」と明記している。この文書は米国の非政府組織(NGO)「生物多様性センター」が入手した。
計画は5年ごとの更新で、現在も維持されているとみられる。実施されると1996年の日米特別行動委員会(SACO)最終報告で合意した基地の整理縮小に逆行する。米軍に計画の白紙撤回を強く求める。
辺野古弾薬庫はかつて核兵器が貯蔵されていた。今回の計画案はキャンプ・シュワブと辺野古弾薬庫の再配置の必要性に言及し「13の弾薬庫を取り壊し、12の新たな弾薬庫と武器の組み立て区画を設けることが含まれている。この計画には大規模な土木工事と未開発の土地の造成を伴う」としている。自然環境に負荷がかかることは間違いない。
米軍は過去にも名護市辺野古のキャンプ・シュワブ周辺に基地機能の整備を計画していた。1966年、ハワイの米太平洋軍総司令部が、キャンプ・シュワブ沖に計画された海兵隊の飛行場と海軍の軍港建設、大浦湾北沿岸への陸軍の大弾薬庫の建設計画を推進する必要性を示す年次報告をまとめている。
この計画はベトナム戦争の泥沼化による戦費負担などから見送られたとみられる。だが、普天間飛行場の移設に名を借りて計画がよみがえったのではないか。辺野古の新基地はV字滑走路、強襲揚陸艦が接岸できる岸壁が整備され、辺野古弾薬庫の再開発を加えると、過去の計画と酷似するからだ。
隣接する北部訓練場の過半を返還する代わりに、政府は東村高江の集落を囲むように六つのヘリパッド建設を強行した。垂直離着陸輸送機MV22オスプレイの墜落、訓練に伴う騒音被害、大型輸送ヘリコプターCH53Eの不時着、炎上事故も起きている。
米国NGOが入手した今回の内部文書は、米軍北部訓練場の過半返還後の訓練の影響について、これまでと同等の訓練がより狭い地域で実施されるため、環境への負荷が増大する可能性があると指摘している。
北部訓練場の過半返還は「負担軽減」だと米軍や日本政府は強調してきたが、米軍は環境面では負担増となることを認めていることになる。
普天間飛行場の県内移設や弾薬庫再開発、北部訓練場の新ヘリパッドの目的は、米軍側にとって老朽化した施設の更新と、オスプレイの運用を軸とした訓練環境の新設に他ならない。基地の「整理縮小」はまやかしである。