<社説>本島にミサイル部隊 過敏な対応は危険を招く

 南西諸島の軍事基地化を推し進める危険な計画だ。検討する必要は一切ない。

 政府が地対艦誘導弾の新たなミサイル部隊を沖縄本島に配備する方向で検討している。宮古島市では700~800人規模の警備部隊と地対空・地対艦ミサイル部隊の配備を進めている。
 沖縄本島-宮古島間の公海を中国海軍の艦艇が頻繁に通過する現状を踏まえ、中国をより強くけん制する必要があると政府は判断した。大いに疑問である。
 沖縄本島、宮古島へのミサイル部隊配備は中国との緊張を高める効果しかない。軍事拠点は攻撃対象となり、地域に危険しかもたらさない。中国を刺激するミサイル部隊配備計画は全面撤回すべきだ。
 各国の沿岸から12カイリの領海や200カイリまでの排他的経済水域(EEZ)以外の海域は公海である。1982年に採択され、日本も批准している国連海洋法条約が根拠になっている。
 条約では各国が公海の領有権を主張できず、他国の利益を考慮する限り、全ての国が自由に使用することができる「公海自由の原則」を定めている。
 公海を通る中国海軍艦艇を敵視することは「公海自由の原則」に明らかに反する。日中関係のさらなる停滞を招きかねない。
 政府が配備を検討しているのは、射程が百数十キロのミサイルである。沖縄本島と宮古島は約300キロ離れている。宮古島からだけではカバーできないが、沖縄本島と宮古島に置けばカバーすることが可能になるとの考えである。あまりに危険すぎる。
 米太平洋軍のハリス司令官は下院軍事委員会の公聴会で、南シナ海の南沙(英語名スプラトリー)諸島を実効支配している中国が3千メートル級の滑走路やレーダー施設の整備を進めていて「新たな七つの軍事基地」を保有していると指摘した。
 ハリス氏はさらに高性能な防衛装備を将来、中国が配備する可能性があるとし、中国の海上戦力強化に強い警戒感を示している。
 中国が進める南シナ海の軍事拠点化は目に余るものがある。だが、軍事に軍事で対抗することは愚かとしか言いようがない。
 与那国島では陸上自衛隊の沿岸監視隊が2016年に発足した。防衛省は今後、宮古島や石垣島のほか、奄美大島にもミサイル部隊と防空を任務とする地対空ミサイル部隊、警備を担当する部隊を配備する計画だ。
 それに加えて沖縄本島にもミサイル部隊を配備するとなれば、南西諸島は「要塞の島」と化し、標的にされかねない。
 沖縄本島-宮古島間では2008年11月以降、中国海軍の往来が徐々に常態化してきている。だが、公海通過は国際法上問題はない。過敏な対応は危険を招く恐れがある。