<社説>辺野古護岸着工1年 県民は承認していない

 米軍普天間飛行場の名護市辺野古への移設に伴う新基地建設で、政府が護岸工事に着工してから25日でちょうど1年がたった。この1年でさまざまな動きがあり、新たな事実も相次いで判明した。

 県は昨年7月、県知事から岩礁破砕許可を得ずに工事を進めるのは違法だとして、国を相手に差し止め訴訟を起こした。那覇地裁は今年3月、審理対象外として門前払いを求めた国の主張を全面的に受け入れ、これを却下した。県は控訴している。
 その間、県はサンゴ保全対策や護岸を使用した海上搬送について工事を中止して県と協議するよう求めてきたが、政府側は応じず、次々と新たな護岸工事に着手してきた。
 一方、建設予定海域で実施した地質調査で、地質が軟弱地盤であることや活断層が走っている可能性が明らかになった。新基地が完成した場合、沖縄工業高等専門学校や沖縄電力の鉄塔、豊原区の一部集落、米軍の辺野古弾薬庫などが、安全のために日米がそれぞれ定める高さ制限を超えることも判明した。
 計画自体がずさんで、そもそも辺野古は基地建設に不適地である事実が次々と浮かび上がっている。
 しかし政府は今月9日、土砂投入を早めるために新たな護岸の工事に着手し、7月の投入を目指している。当初の予定を変え、サンゴ移植について県の許可が必要のない場所から埋め立てを進める方針に転換した。
 市民団体などは工程の変更は県の変更許可が必要だと指摘する。県は工事の実施設計と環境保全策の事前協議を求めているが、政府は意に介せず、前のめりで工事を強行している。県の「権限外し」を狙い、既成事実を積み上げ、県民の諦め感の広まりを狙っているとみられる。
 しかし、県民は諦めない。政府に問いたい。仲井真弘多前知事が公約を破って埋め立てを承認したことが県民の大きな反発を買い、2014年の県知事選で約10万票の大差で翁長雄志知事が誕生した。その後の国政選挙を見ても民意は明らかだ。県民はそもそも工事を承認していない。
 政府与党関係者は、辺野古反対で結集した「オール沖縄」勢の支持を受けた候補が県内市長選で敗れる結果が続いていることを強調する。しかし、宜野湾市長選や名護市長選で政府の支援を受けて当選した候補者は、普天間移設問題の争点化を避けた。有権者の選択肢から「容認」を外したのである。それらの選挙結果を「容認」と見るのはすり替えだ。県民の民意は辺野古容認に転じたとはいえない。
 政府の民主的手続きのずさんさだけではない。住民の安全性や自然保護の観点からも、十分な対策がないまま、強引に工事を進めるやり方は目に余る。土砂が投入されてからでは遅い。翁長知事は早急に埋め立て承認を撤回すべきである。



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