在沖米海兵隊は伊江島補助飛行場で車両と兵士を投下する訓練を実施した。
伊江村の中止要請を無視して危険な訓練が強行されたことに強く抗議し、訓練を米本国に移転するよう求める。
村や沖縄防衛局によると、降下訓練はC130と見られる航空機1機から、3回に分けて車両1台と兵士9人を投下した。車両の投下訓練はこの10年間は実施していないという。
在日米軍の動向を監視する市民団体「リムピース」の頼和太郎編集長は、米軍が落とした車両MRZRは荒れ地でも走行できる仕様であることから「砂漠での部隊訓練、つまり中東を想定した訓練ではないか。投下後はオスプレイで回収した可能性が高い」と分析している。
米海兵隊のネラー総司令官は今年3月、ワシントンで講演し、米軍普天間飛行場の県内移設や度重なる米軍機事故で海兵隊への反発があることを念頭に、「多くの人は気付いていないが、私たちは日本防衛を目的とした日米の協定に基づき、沖縄や日本本土に駐留している」と述べた。
「日本防衛を目的」と説明しながら実際には、中東を想定した車両降下訓練を実施している。ネラー氏の発言は矛盾している。
降下訓練は過去に何度も事故が起きている。
1965年に読谷村でパラシュート投下訓練中の米軍トレーラーが落下し、小学5年生の女児が下敷きになって死亡した。
伊江島でも、過去に事故が起きている。2014年にはパラシュートで投下されたドラム缶4本(計800キロ)が目的地を外れフェンス外にある建設工事現場に落下した。今年4月には、兵士が民家から約50メートルの農地にパラシュートで降下した。
降下訓練は伊江島だけではない。県やうるま市の反対にもかかわらず、津堅島訓練場水域でパラシュート降下訓練が繰り返されている。政府や地元の中止要請を無視して昨年だけで3回、嘉手納基地でパラシュート降下訓練を強行した。
軍事優先が続くのは、基地の管理・運用などを協議する日米合同委員会に問題があるからだ。
米側委員6人のうち5人を軍人が占める。米政府代表を務める在日米軍副司令官は「米国防総省や米軍のみならず、米政府全体を代表する」立場にある。
軍人に政府を代表する特権を与えているから「軍の論理」が優先される。
同様に米軍が駐留するイタリアやドイツにも協議機関がある。イタリアは政府の指示を受ける形で、文民統制下に置かれている。ドイツも協議機関は「助言」をし、米独両政府がそれぞれ「好意的考慮」を払う。
沖縄の基地負担を軽減するためには、日米合同委の在り方を見直す必要がある。