<社説>加計理事長会見 国会に証人喚問すべきだ

 唐突な記者会見の内容は、真相究明に程遠い。

 学校法人「加計学園」の加計孝太郎理事長が初めて記者会見した。獣医学部新設を巡り愛媛県文書に記載された安倍晋三首相との面会について「3年も前のことなので、記憶にもないし、記録にもなかった」と否定した。
 愛媛県の文書には首相が加計理事長と2015年2月25日に面会し「そういう新しい獣医大学の考えはいいね」と語ったと記載されている。学園側は後に面会を否定するコメントを出していた。
 愛媛県が捏造(ねつぞう)する理由はない。加計学園が説明していないことをわざわざ記録するだろうか。愛媛県幹部は「文書は、職員が学園側から聞き取った内容を正直に書いている。脚色する必要はない」と述べている。
 今回の記者会見で加計理事長は首相との面会を否定したが、証拠はどこにもない。県文書には他にも、首相の名前が登場する。到底、説明責任を果たしているとは言えない。真相を明らかにするために加計理事長を国会に証人喚問すべきだ。
 会見で加計理事長は、学園側が県に誤った情報を伝えたとして「多大な迷惑を掛けた」と謝罪。監督責任を取り、給与の10%を1年間自主返納する。理事長職は続投する。県に誤った情報を伝えたと認めた渡辺良人事務局長を減給10%(6カ月)の処分とした。
 自身を「腹心の友」と呼ぶ首相との関係について「何十年来の友達だが、仕事のことを話すのはやめようというスタンスで会っている」「たまたま総理と仲が良かったことで、こういうことが起きた」と述べた。
 この説明に納得する国民はいないだろう。前文部科学事務次官の前川喜平氏は「うそにうそを塗り固めた上に、さらにうその上塗りをした」と批判した。
 部下に責任を押し付けるやり方は「森友学園」を巡る決裁文書の改ざんに対する麻生太郎財務相の対応に酷似している。
 当時理財局長だった佐川宣寿前国税庁長官が、改ざんや交渉記録廃棄の方向性を決定付けたと認定。佐川氏を停職3カ月相当とした。監督する立場の麻生氏は、大臣を辞職せず12カ月分の閣僚給与の自主返納にとどまった。
 加計理事長の会見の連絡が報道機関に伝えられたのは開催の約2時間前で、しかも、開催場所は岡山市の学園本部だった。会見した19日はサッカーワールドカップ日本初戦が行われた。報道の扱いを小さくしたいのではないかと勘繰られても仕方ない。
 共同通信加盟の日本世論調査会が9、10日に実施した全国面接世論調査によると、安倍政権の経済政策を期待しない理由として、森友、加計学園問題などで「政権を信頼できない」が最多の52%に達している。記者会見で幕引きにすることは許されない。



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