12機追加配備 沖縄だけ差別的扱いやめよ


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 小野寺五典防衛相とヘーゲル米国防長官が垂直離着陸輸送機MV22オスプレイ12機を今年夏に普天間飛行場に追加配備すると発表した。これで普天間飛行場には昨年10月に強行配備された12機と合わせ、24機が常駐することになる。

 県知事、県議会、県内全市町村長と議長が配備に反対を表明している。沖縄の民意を無視し続ける日米両政府の姿勢に、あきれ果てて開いた口がふさがらない。
 安倍晋三首相は4月28日に開催された「主権回復・国際社会復帰を記念する式典」でこう述べた。
 「沖縄の戦中戦後の苦労に、通り一遍の言葉は意味をなさない。若い世代に呼び掛けつつ、沖縄が経てきた辛苦にただ深く思いを寄せる努力をなすべきだと訴えようと思う」
 額面通りに受け取れば、安倍首相が沖縄の痛み、苦しみに深く思いを寄せ、基地の整理縮小に真剣に取り組んでくれると思うだろう。しかし実際は正反対のことばかりが進む。オスプレイの追加配
備は基地機能強化にほかならない。
 「通り一遍の言葉は意味をなさない」。沖縄からすれば、式典で首相が言ったこの言葉こそ、首相に向けられている。式典と同時に開催された式典に抗議する「屈辱の日」沖縄大会に集まった1万人余の県民の意志を政府はしっかり受け止めるべきだろう。
 オスプレイをめぐっては日本政府の沖縄と県外での二重基準ともいえる対応が目立つ。小野寺五典防衛相は先月、在日米軍副司令官に「本土で訓練を実施する際には情報提供をお願いしたい」と求めている。沖縄での訓練では情報提供を求めないのか。県民を愚弄(ぐろう)するにもほどがある。
 昨年2月には米側から在沖米海兵隊の岩国への一部移転を打診されたが、政府は即座に断っている。当時の玄葉光一郎外相は岩国市長に「お願いするつもりはないので安心してほしい」と述べている。沖縄の加重負担の基地駐留こそ即座に断るべきではないのか。
 政府の式典によって県民の多くが「屈辱の日」の歴史を共有し、自己決定権を確立する重要性を再認識した。沖縄だけに基地が押し付けられている差別的な扱いは許されないと思っている。日米両政府はオスプレイの追加配備を取りやめ、現在配備されている12機も撤退させるべきだ。