<社説>島ぐるみ会議訪米 国際世論に「辺野古ノー」を


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 米軍普天間飛行場の名護市辺野古移設に反対する政財界の有志や有識者らが共同代表を務める「沖縄『建白書』を実現し未来を拓く島ぐるみ会議」が翁長雄志次期知事の訪米要請行動に同行する準備を進めている。この機会を通して米国をはじめとする国際社会に辺野古移設「ノー」という沖縄の民意を広く伝えてほしい。

 県知事選では移設反対を掲げた翁長氏が移設を容認する現職の仲井真弘多氏に約10万票の大差をつけて勝利した。1月の名護市長選では移設反対の稲嶺進氏が再選を果たしている。
 9月の統一地方選もしかりだ。名護市議選で移設反対を掲げた候補が過半数を占めたほか、27市町村議会の全382議席のうち、移設反対は過半数の208人を占めた。世論調査でも昨年12月、ことし4月、11月のいずれも県内移設反対が7割を超える。海底掘削調査開始後の8月の調査では80%が「移設作業を中止すべきだ」と答えている。繰り返し示された沖縄の民意を見れば、日米両政府が辺野古移設をそのまま進められるはずがない。
 ところが知事選が終わった2日後の18日には、工事再開に向けた作業が始まった。キャンプ・シュワブに資材が搬入され、翌日には浮具と浮標灯の再設置の準備が進められた。菅義偉官房長官は知事選直後に「(選挙結果にかかわらず)移設を粛々と進める」と述べ、民意を踏みにじることを堂々と宣言した。これで日本は民主主義国家といえるのか。
 国連の国際人権規約第1条には「全ての人民は自決の権利を有する」とある。ことし8月に開かれた国連の人種差別撤廃委員会は日本政府に対し、沖縄の人々の権利を保護するよう勧告する「最終見解」を発表した。辺野古移設強行は人権規約と最終見解に反している。
 国際社会で通用するはずのないこうした蛮行がまかり通っているのは、米国民をはじめとする世界の多くの人々に知られていないからではないか。
 島ぐるみ会議は基地問題などに関する沖縄と県外との認識のずれの解消を図り、国内外に沖縄の実情を訴えようと結成された。今回、翁長氏訪米への同行で本格的に取り組みを開始することは意義深い。国連の規約を待たずとも沖縄には自己決定権がある。それを取り戻すため、国際世論を喚起する効果的な方法を模索してほしい。