<社説>沖縄大交易会 食の「万国津梁」目指せ


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社

 国内最大規模の国際食品商談会「第1回沖縄大交易会」が盛況のうちに閉幕した。2日間の会期を通じて、沖縄や日本各地の食の魅力をアジアに発信した。国際物流拠点としての地理的優位性を証明することにもなった。課題を確認しながら、食の「万国津梁」を構築するための礎としてほしい。

 交易会には国内外から出展企業、バイヤー計361社が参加し、昨年の「プレ交易会」を大幅に上回る規模となった。国際物流拠点への地歩を固めてきた沖縄への期待度の表れだといえよう。
 県は21世紀ビジョンにアジアと日本の懸け橋となる「国際物流拠点の形成」を掲げ、諸施策を進めている。那覇空港を拠点とする全日本空輸(ANA)の国際航空貨物事業の開始からことしで5年となり、那覇空港の貨物量は増大した。24時間運用と迅速な通関手続きは食料品を扱う上で大きなメリットだ。アジア各地の富裕層を想定した物流展開が可能となる。
 今回の「沖縄大交易会」は国際物流拠点としての沖縄、那覇空港の魅力を最大限に生かそうという事業として評価できる。
 今回の発信をさらに沖縄の産業振興につなげたい。沖縄に集まった商品に手を加えないままアジア各国へ素通りさせるのでは、物流拠点としての価値は半減する。付加価値を高める工夫が必要だ。
 空路で運ばれた食材を加工することで、さらに魅力ある商品を生み出すことができるはずだ。日本各地の商品を小分けする中で県産品を組み合わせて販売するセット商品もできるのではないか。
 このような一手間を加えることが、国際物流拠点としての魅力を一層高めることとなろう。その際、国際物流特区で認められた税制優遇措置などの諸制度を大いに活用したい。沖縄の雇用拡大にもつながることになろう。
 課題となったのが会場の狭さだった。国内最大規模の商談会を1カ所に集約する施設は県内にはなく、コンベンションセンターの2施設と宜野湾市立体育館での分散開催となった。次回の開催に向け、活発な商談を促す会場づくりを求めたい。
 地政学上、沖縄は軍事的な価値が強調されてきたが、今回の「大交易会」は食の物流拠点としての可能性を内外に発信する機会となった。この可能性をさらに伸ばすため、沖縄の英知を結集したい。