<社説>バスケ協会処分 「選手第一主義」で解決を


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 国際バスケットボール連盟が日本代表の国際試合出場を無期限で禁止する処分を日本協会に課した。処分が解除されなければ、日本は来夏のリオデジャネイロ五輪予選に出場できない。非常事態である。

 国際連盟は2008年以降、男子トップリーグの統一を度々求めてきた。それに応えられない日本協会の統治能力の欠如が今回の事態を招いたと言わざるを得ない。
 国際試合禁止という重い処分に加え、日本を直接指導するための特別チーム派遣は、日本協会が国際連盟からの信頼を完全に失ったということだ。
 一方で、選手を人質に取るような国際連盟の処分の在り方は疑問である。日本協会の改革は、将来的には選手のため、ファンのためになるとの考えが根底にあるとしても、今回の処分は国際連盟が大原則とする「選手第一主義」の精神から外れてはいないか。選手が不利益を被りかねない処分はあってはならない。
 国際連盟の改善要求に6年たっても応えられなかった日本協会に、事態打開を期待できる状況に今はない。国際連盟の特別チームが事態打開に乗り出すが、強引な手法は取るべきではない。約62万人の選手登録者のことを念頭に置いた解決を望みたい。
 国際連盟が日本協会に求めているのは統治能力強化のほか、男子日本代表チームの強化、男子トップリーグ統一の3点である。
 一番の難題は二つ存在するトップリーグの統一である。国際連盟は分裂状態を問題視し、ナショナルリーグ(NBL)とTKbjリーグの統合を日本協会に求めてきた。
 bjリーグは日本協会傘下の日本リーグ(当時)を脱退した2チームなどで05年に発足した。日本協会はそれに反発しbjとの関わりを禁止する通達を出した経緯もあり、統一のハードルは高い。日本協会は国内プロリーグ「Pリーグ」の16年発足を目指すが、TKbjとの話し合いは進んでいない。
 TKbj、NBLともチームによって差はあるものの、固定ファンがおり、その存在には十分な配慮が必要だ。強引な統一はファン離れを招きかねない。国際連盟にはこの点に留意するよう求めたい。
 国際連盟の指導下にあっても、主体は日本である。日本バスケットボール界が選手、ファンのために小異を捨て大同につくことを求めたい。