<社説>米兵飲酒事件続発 米軍は緩和措置取り消せ


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 飲酒絡みの米兵の事件・事故が相次いで発生している。在日米軍は今月9日、在沖米4軍の軍人・軍属の勤務時間外行動指針(リバティー制度)を大幅に緩和した。これまで制限されていた飲酒場所や飲酒量が事実上、解禁された。緩和するべきだったのか、その結果の事件続発であり、緩和が誤りだったのは明らかだ。

 緩和措置によって、これまで夕食時の午後6時から10時まで、バーを除く飲食店でビール2本程度までとされた飲酒制限が、午前0時から5時を除けば場所や量に関係なく認められた。また午前0時から5時まで禁止されていた軍曹相当以下の外出についても、上官が同伴している場合は午前1時から5時まで原則認められた。
 米軍が緩和方針を県に伝えた11月26日から今月21日までの26日間で、飲酒絡みの米兵による事件・事故が6件発生している。
 11月28日に北谷町北前で発生した住居侵入事件は、未明に酒に酔った米空軍の1等軍曹がアパート2階の一室に施錠されていないベランダ窓から無断で入り込み、居間で寝た疑いがある。生後5カ月の息子を世話しようと目覚めた夫婦が米兵に気付き、恐怖のあまり子どもを抱えて自室から飛び出した。米兵がどこで飲酒したのか分かっていないが、緩和前なので基地外であれば明らかに指針に反する。
 今月18日に公務執行妨害容疑で逮捕されたのは米陸軍トリイステーション所属の大尉だ。車を運転中に警察官の制止を無視して立ち去り、追跡を受けると車外に出て走って逃走し、警察官に体当たりした。基準値の2倍を超えるアルコールが検出された。軍曹以下などの下士官が深夜・未明に飲酒が許される同伴条件となる「上官」の地位にある者がこれでは話にならない。
 また21日深夜に北谷町の路上を酒気帯び状態で乗用車を運転して道交法違反で逮捕された米空軍所属の2等軍曹は憲兵隊員だった。
 指導的立場の将校や取り締まる側の憲兵が飲酒絡みの事件を起こして逮捕されている。もはや米軍内部の組織統制が機能していない証拠だろう。
 基地所在市町村の首長からは緩和措置延期を求める意見が相次いだ。県議会でも米軍の綱紀粛正の取り組みに疑問の声が上がっている。米軍は直ちに緩和措置を取り消し、綱紀粛正を徹底すべきだ。