<社説>スポーツ’14回顧 歴史に残る偉業誇りたい


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社

 ことしは県内、県出身のアスリートの歴史に残る快挙が相次ぎ、県民に勇気と誇りを与えた。その奮闘をたたえ、敬意を表したい。

 特筆されるのは、興南高校ハンドボール部男子による全国3冠の達成だ。3月の全国高校選抜、8月の全国高校総体、10月の国民体育大会を制した。9年ぶりの3冠獲得までは選抜と総体の制覇も通過点と位置付け、高みを目指した気概とチームワークの良さが無敗での偉業達成の原動力だった。
 180センチを超える大型選手はいないが、名将・黒島宣昭監督の緻密な指導により、前に出て相手のボールを奪う攻撃的な守備を土台にした「堅守速攻」を磨き上げ、日本ハンドボール協会から「ほかにどこにもない形」と称賛された。
 8月、中学女子の港川は全国中学校体育大会で初優勝を果たし、全国小学生大会では神森女子が4度目の優勝を飾った。小中高校ともに高いレベルで切磋琢磨(せっさたくま)する「ハンドボール王国沖縄」を全国に大いにアピールした。
 空手でも快挙が成し遂げられた。男子形の喜友名諒選手が11月の世界選手権で初優勝を果たし、8月の空手1プレミアリーグ沖縄大会、10月の国体に勝ち、12月の全日本選手権は3連覇し、無敗のまま2014年を締めた。数々の大舞台で培った精神力の強さが際立ち、気迫みなぎる形に結実している。
 柔道の七戸龍選手(那覇市出身)は8月にロシアであった世界選手権の100キロ超級で準優勝した。世界の強豪と渡り合う力を備え、パリとモンゴルで開かれた国際大会を制した。サッカーの名古屋グランパス所属の田口泰士選手(小禄中出身)は日本代表に初選出された。両足から繰り出す正確なパスなどが評価されており、代表への定着を目指してもらいたい。
 プロバスケットボールbjリーグの琉球ゴールデンキングスが5月に2年ぶりの日本一に輝いた。43勝9敗とリーグ記録を更新する圧倒的強さを見せた。ファンや地域と一体となった活動も応援の輪を広げている。
 ライトフライ級で13戦連続世界王座防衛の日本記録を持つ具志堅用高氏が国際ボクシング殿堂入りした。「カンムリワシ」と呼ばれ、圧倒的連打が印象的な攻撃的スタイルと優しい人柄がファンを魅了した。郷土のヒーローに新たな偉業が加わったことを喜び、誇りに思いたい。