<社説>本体工事初契約 海の強制接収許されない

 米軍普天間飛行場の移設に伴う名護市辺野古への新基地建設計画で、沖縄防衛局はキャンプ・シュワブ内のケーソン新設工事の契約を大手ゼネコン3社の共同企業体と交わした。ケーソンは埋め立てる場所の護岸を形成する鉄筋コンクリート製の巨大な箱を指し、その新設は埋め立て本体工事を意味する。本体工事の契約はこれが初めてだ。現場では仮設桟橋設置作業も始まっており、政府のなりふり構わぬ強硬姿勢に強い疑問を抱かざるを得ない。

 県内では一昨年12月に前知事が埋め立てを承認し、県民の大きな反発を受けた。その後に実施された名護市長選、県知事選は全て辺野古移設反対を公約に掲げた候補者が当選した。衆院選でも移設反対を表明した候補者が4選挙区全てで当選している。
 琉球新報が一昨年12月から昨年11月まで実施した3度の県民世論調査全てで7割以上が辺野古移設に反対と答えている。沖縄の民意は明らかに「辺野古ノー」だ。
 30日の衆院予算委員会で安倍晋三首相は「(沖縄の)選挙結果を真摯(しんし)に受け止める」と述べた。真摯に受け止めるのなら、辺野古移設は中止する以外にないはずだ。それなのに首相は委員会で辺野古移設方針に変更はないとの立場を示している。あまりに不誠実だ。
 移設反対の翁長雄志氏が知事選に当選した直後から、菅義偉官房長官も「(前知事から)埋め立て承認を得たので、法治国家として粛々と進めていく考え方に全く変わらない」と繰り返し述べている。家主が家族の了承を得ぬまま印鑑を押してしまった契約書を振りかざし、家族が再三にわたって購入中止を求めているにもかかわらず、応じることなく商品を強引に売りつける悪質業者と何が違うだろう。
 首相は普天間移設について「地元の理解を得ながら着実に進めていく」と言っていた。しかし翁長知事の面談の求めにも応じることなく、首相、官房長官、防衛と外務の各大臣は一度も会っていない。理解を得るどころか、地元の声を聞く耳すら持っていないではないか。
 こうした中での移設作業の強行は、米統治下の沖縄で米軍が住民の意思を踏みにじって土地を強制接収し、基地建設を進めた構図と同じだ。「海の強制接収」によって「豊かな自然」も「民意」も「民主主義」も押しつぶされている。直ちに工事を中止すべきだ。