<社説>先島-那覇便撤退 県は離島振興重視で対応を


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 東京地裁に民事再生法の適用を申請したスカイマークが3月29日以降、那覇と石垣、宮古を結ぶ路線から撤退する。

 いずれも先島に住む人たちの生活に欠かせない路線である。スカイマークに対抗して最低運賃を引き下げた他社が「運賃を引き上げるのでは」との懸念が利用者に広がっている。
 スカイマーク就航以前に運賃が戻ったり、先島便が全体として減便となれば、沖縄観光はもとより、先島に住む人たちや先島出身者にとって大きな痛手となる。
 先島住民らの負担が増したり、利便性が失われたりすることがあってはならない。
 県や航空他社には、先島住民らが不利益を被る事態を避けることに主眼を置いた「利用者第一」の対応を求めたい。
 スカイマークは1998年の就航と同時に、海外と比べて割高だと批判されていた日本の航空運賃に価格競争を持ち込んだ。
 利用者はその恩恵にあずかってきただけにスカイマークの先島-那覇路線撤退以降、他社が運賃を値上げすれば、金銭的な負担感が増すことになる。利用回数を減らすことも十分予想される。必要な時に金銭的な理由から利用を控えざるを得ない事態が生じることは避けねばならない。
 石垣市への2014年入域観光客数(速報値)は111万人を突破し、過去最高を更新した。13年3月の新石垣空港開港以降、八重山観光は活況を呈している。
 宮古島市の観光入域客数は12、13年度連続で40万人を超えた。伊良部大橋の開通を契機に、さらに増加することが期待されている。
 運賃の安いスカイマークの先島-那覇路線撤退が好調な先島観光に影響することも避ける必要がある。
 離島県沖縄にとって航空路は県民の足である。利用しやすい航空路の確立は離島苦解消の有効策の一つであり、離島住民の高速交通手段の確保の重要性は言うまでもない。
 人の行き来が活発になれば、地域も活性化する。その面で那覇と離島を結ぶ航空路線の果たす役割は大きい。
 県には、離島振興重視の観点から持続的な運賃補助制度の創設など、離島住民らを支援することなどを柱に据えた総合的な離島交通政策を打ち出してもらいたい。