<社説>着陸帯禁止決議 全会一致の重み受け止めよ


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 東村議会が米軍北部訓練場の一部返還に伴って東村高江に新設されたヘリコプター着陸帯N4地区の使用禁止を求める意見書と抗議決議を全会一致で可決した。

 村議会が着陸帯の使用禁止を決議したのは初めてだ。着陸帯建設が進む中、地元住民の中に建設中止を求める声が高まっていることの表れである。決議は村民の民意だ。日米両政府は重く受け止めるべきだ。
 着陸帯建設は北部訓練場内にある22カ所の着陸帯のうち7カ所を返還し、新たに高江を取り囲むように6カ所を新設するものだ。完成したN4地区の2カ所を米側に先行提供することが17日に閣議決定した。北部訓練場はまだ返還されていない。既存の着陸帯も使用が可能で、基地機能強化だけが進んでいる。住民が反発するのは当然だ。
 提供前から高江上空では既に垂直離着陸輸送機MV22オスプレイが飛行している。しかもブロック片をつり下げて飛行する訓練も繰り返されている。新設の6カ所でのオスプレイの年間使用回数は合計2520回だ。既存着陸帯は1288回で、2倍近くに増加する。騒音など基地被害の拡大は明白だ。
 しかもN4は最も近い民家から直線で400メートルしか離れていない。住民生活への影響は避けられない。しかも提供前の1月21日と昨年3月、米軍はN4地区でヘリの着陸訓練を実施している。約束事を守れない米軍に基地を提供する行為は、治外法権の場所を差し出す極めて危険なことと認識すべきだ。
 今月4日にはN4地区近くの県道70号でライフル銃を抱えた米兵25人が米軍トラックから降りてきた。その後基地内に入ったが、基地の外で武装兵がわが物顔で闊歩(かっぽ)する事態は極めて異常だ。海兵隊は沖縄全域を自分たちの基地だと思っているのだろう。
 これまで着陸帯の建設に反対しているのは一部住民だけと見る向きもあった。しかし村議会は今回の意見書と決議で「地元高江区をはじめ、村内はもとより県民の反対を押し切って建設が強行され」と断言した。
 翁長雄志知事もオスプレイ配備に反対し、同機が使用する着陸帯建設にも反対を表明している。着陸帯建設反対は沖縄の大多数の民意だ。沖縄防衛局はさらに4カ所の新設を進める予定だが、言語道断だ。新設を撤回し、北部訓練場を無条件返還すべきだ。